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聴診器

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月報 「聴診器」 2011/08

月報 「聴診器」 2011/08/01

蒸し暑い日が続いていますが、みなさん大丈夫でしょうか。今年は例年にも増して熱中症が多い印象があります。気温自体は昨年のほうが高いようですが、湿度が高いこと、温度変化が激しいことが要因と思います。直射日光を浴び続けても熱中症になりますが、風のない室内でも熱中症は発生します。人間は代謝などで生じた余分な熱を、汗による気化熱で外部に放出し体温を保っていますが、湿度が高いとこの機能がうまくはたらかなくなり、熱がたまってしまいます。水分を十分にとってください。3-4時間に一回は排尿に行く程度の量が目安です。

13 検査 ⑧放射線検査 シンチグラムなど

前回まではX線を照射して行う検査について説明しました。放射線検査では放射線物質を使用して行う検査もあります。代表的なものはシンチグラムです。

シンチグラムでは放射性同位元素を使用します。すべての物質は原子からできています。原子はそれぞれ固有の数の陽子と電子と中性子からできています。原子の性質は陽子と電子の数で決まりますが、原子の中には中性子の数が異なるものがあり、正常の原子とは重さが異なります。この原子のことを放射性同位元素といいます。この中性子が余分にある原子は不安定ですので、原子核が崩壊して別の原子になります。この際にガンマ線をはじめとした放射線を出します。この放射線を検出して画像にする検査がシンチグラムです。

放射性同位元素は基本的には正常の原子と同じような動きをします。心筋シンチグラムではテクネシウムの同位元素を使用します。テクネシウム99mはガンマ線を出す放射性同位元素ですが、これで化合物を作ると血流にのって心筋に取り込まれます。この状態で、安静時にガンマカメラで撮影すると血流のある組織が写ります。次に、運動をさせて撮影をすると血流の乏しい部位は写らなくなります。結果的には、正常の心筋、血流の乏しい心筋、完全に壊死している心筋がわかります。この所見と冠動脈造影の所見を組み合わせて治療方針を決めます。冠動脈の狭窄部位に一致して血流の乏しい心筋を認めれば、血行再建術の対象になります。冠動脈に狭窄があっても心筋が完全に壊死してれば血行再建術を行っても効果が乏しいと予想されるので、血行再建術の対象にはなりません。シンチグラムでは脳血流や肺血流も見ることができます。特殊なものでは癌の骨転移を探す骨シンチや炎症部位を探すガリウムシンチがあります。

PET検査は厳密にはシンチグラムとはべつの検査ですが、やはり放射性同位元素を使用する検査です。PETでは放射線の検視機器がシンチと異なるため、CTのように断面を表示することができます。三次元構成にすることも可能です。がん検診などで使用されるFDG-PET検査ではフッ素18という放射性同位元素を使用します。これは陽電子(普通の電子は陰性)を放出します。フッ素18を使用してFDGというブドウ糖によく似た物質を作り体に投与します。がん細胞では代謝が亢進していますので、ブドウ糖が盛んに取り込まれ、FDGも同様に盛んに取り込まれます。そのため、がんがあれば集積亢進部位として画像に反映されます。ただし、もともと代謝が亢進している部位や尿路系は正常でも集積が亢進しているので、これらの部位のがんは検出することができません。フッ素18FDGを作るためにはサイクロトロンという装置で粒子を加速して作ります。特殊な装置のため、以前は限られた地域でしかPET検査はできませんでしたが、最近では民間病院でも自前でサイクロトロンを用意して、健診に役立てる施設も出てきました。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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