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聴診器

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月報 「聴診器」 2012/08

月報 「聴診器」 2012/09/01

暑い夏もやっと終わりが見えてきました。7月中旬から急激に暑くなりました。節電の影響もあってか、熱中症が急増しています。全国的には死者も出ているようです。高齢者の方々にはもちろん注意が必要ですが、若い方にも熱中症はみられます。屋内のスポーツでも発症することは珍しくありませんので、水分摂取は十分に行ってください。

 

15 医師列伝③

前回までは歴史的な医師を紹介しました。今回は現代の著明人を紹介します。ただし、僕の独断で選んでいますので、人選にすごく偏りがあります。すいません。

ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリック:いわずと知れた、DNA二重らせんモデルの発見者です。厳密には医師ではなく生物学者ですが、医学部では必ず教わる人物です。クリックはもとは物理学者でしたが、戦後に生物学に転向しています。その後、若いワトソンとともにDNA二重らせん構造を発見し名声をえます。なお、DNA三次元構造の解析にはX線解析という方法が用いられていますが、この解析法にはロザリド・フランクリンという女性物理学者が多大な貢献をしています。

バリー・マーシャル:オーストラリアの医師で、ピロリ菌の発見者です。ある患者さんたちが抗生剤を飲んだ後に胃の調子がよくなると話したのが発見のきっかけだそうです。そこで、ピロリ菌の培養同定を行い、細菌感染が胃潰瘍の原因であるとの仮説を立てました。しかし、当時は、ストレスなどによる胃酸過多が胃潰瘍の原因であると考えられていました。そもそも、たんぱく質を溶かす胃酸のある中で細菌が活動しているとは考えられませんでした。そこで、マーシャル先生は、ピロリ菌を自分で飲みこんで、自ら胃潰瘍を発症させたそうです。後年、ピロリ菌仮説は実証され、胃潰瘍治療を一変させました。2005年にノーベル賞を受賞しています。

スタンリー・プルシナー:狂牛病の原因が「プリオン」であることを発見した生化学者です。狂牛病は牛が歩けなくなる病気として有名ですが、人間にも同じような病気があります。代表的なものはクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)です。CJDでは脳がスポンジ状になり、体が思うように動かなくなります。そのうち、思考や認知機能も侵され死に至ります。長らく狂牛病やCJDでは原因がわかっていませんでした。感染性疾患のようですが、感染から発症までが非常に長く、原因となる細菌やウイルスも発見されていませんでした。プルシナーは長年の努力で、異常たんぱくが発症原因であることを突き止めます。異常たんぱくは、正常生体内にあるたんぱく質とほぼ同じような形をしています。生体に異常たんぱくが入ると、正常たんぱくも変性し、互いにくっついて蓄積していきます。これが結晶になり脳を破壊しているのです。異常たんぱくはプルシナーが「プリオン」と名付けています。

遠藤章:日本の生化学者で、コレステロール降下薬の発明者です。もともと、菌の研究をしていたそうですが、アオカビからコレステロール合成を阻害する物質を発見します。この物質からコレステロール合成阻害薬:スタチンが開発され、動脈硬化治療を飛躍的に進歩させました。今ではスタチンは世界で一番売れている薬となっています。

 

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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