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聴診器

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月報 「聴診器」2005/10

月報 「聴診器」 2005/10/1

ようやく、涼しい風もときおり吹くようになってきましたね。今年の夏は、無事に過ごせたでしょうか。気候がよくなり、食べ物がおいしくなってくると糖尿病やコレステロールの値が悪化してくるかたもいらっしゃいます。「スポーツの秋」、「読書の秋」がいいですね。

 

5心筋症①

これまで、不整脈や心筋梗塞、弁膜症で、心臓の力が弱まる話をしてきました。では、それらの疾患が無ければ心臓の力が弱まらないかといえば、そんなことはありません。「心筋症」という病気があり、これによって心臓の力が弱まることもあるのです。

心臓というのは、筋肉で出来た袋です。この袋が、筋肉の力で縮むことによって血液を押し出しているのです。ところが、様々な原因でこの筋肉が弱れば、縮む力も弱くなり、心臓の機能が損なわれてしまいます。この、心臓の筋肉自身が弱っていく病気を「心筋症」といいます。心筋症は「特発性心筋症」と「続発性心筋症」に分けられます。「特発性心筋症」とは、特にはっきりした原因疾患が無いのに心臓の筋肉が弱っていく病気です。「続発性心筋症」とは、いろいろな病気、例えばサルコイドーシス症やアミロイドーシなど、が原因で心臓の筋肉が弱ってしまう病気です。「特発性心筋症」は、その形態的差から「拡張型心筋症」と「肥大型心筋症」と「拘束型心筋症」に分けられます。

拡張型心筋症はその名のとおり、心臓が大きくなっていく心筋症です。心臓の筋肉自身がダメージを受けて、収縮力が弱くなってくると、心臓は拡張を始めます、ここで注意しなければならないのは「拡張」と「肥大」の言葉の違いです。心臓の内腔が大きくなることは「拡張」と呼ばれ、心臓の筋肉自信が厚くなることは「肥大」と呼ばれます。拡張と肥大が同時に起こることもありますが、拡張型心筋症では拡張だけが起こり、肥大は起こりません。むしろ、心臓の筋肉は薄くなっていきます。一度、拡張が始まれば、弁膜症が悪化したり、心臓に無理がかかったりして更なる拡張を招きます。拡張型心筋症が進んだ患者さんでは、心臓の大きさが倍以上になり、収縮力が半分以下になったりします。拡張型心筋症が進行すれば、体に十分な血液を送れなくなり心不全状態となります。また、不整脈も頻発するようになります。脈拍は心臓の中に電気が流れることによって調節されていますが、心臓の筋肉がダメージを受けた状態では、この電気の流れが乱れて不整脈が起きやすくなっているのです。

拡張型心筋症ではなぜ心臓の筋肉が弱っていくのかあまりよく分かっていません。心臓の筋肉の感染症が原因であるといわれたり、遺伝的に心臓の筋肉が弱いといわれたりしています。また、その病態も、急速に進行するものから、徐々にしか進行しないものまで様々です。現在では、いろいろな原因による、いろいろな心臓の筋肉の病気が、同じような形態をとってしまったのではないかと考えられています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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