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聴診器

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月報 「聴診器」 2009/03

月報 「聴診器」 2009/03/01

 

ようやく、寒さも緩んできましたね。インフルエンザなどの感染症も減ってきています。しかし、去年と一昨年は、3月からまた寒くなりました。一度、緩んだ後の寒さは格別に体にこたえます。用心しましょうね。

 

10 脂質異常症③  動脈硬化-2

前回は、脂質異常による動脈硬化の進行を説明しました。動脈硬化は、年とともに進行し、LDLコレステロールが高値であればさらに進行が早まります。しかし、LDLコレステロール値が一緒でも、全員が同じように動脈硬化が進むわけではありません。動脈硬化を進めるのは、脂質異常症以外に糖尿病、高血圧、喫煙、遺伝的要因があります。このため、同じLDLコレステロール値でも、糖尿病があるほうが動脈硬化が進みますし、高血圧があればさらに進みます。逆に言えば、糖尿病や高血圧があればより厳格に脂質管理をしなければ動脈硬化がかなりのスピードで進みます。これらの動脈硬化の促進因子を、「危険因子:risk factor

」と呼びます。

脂質異常症のガイドラインでは、治療の目標値が決められています。一般的にはLDLコレステロール160mg/dl以下、中性脂肪 150mg/dl以下、HDLコレステロール 40mg/dl以上が目標値になります。しかし、①高血圧、②糖尿病、③加齢、④冠動脈疾患の家族歴、⑤喫煙などの危険因子うち一つでもあればLDLコレステロールの目標値は140mg/dl以下になり、三つ以上あればLDLコレステロールの目標値は120mg以下になります。特に糖尿病は、特別に2ポイント分の危険因子として考えますので、加齢と糖尿病があるだけでLDLコレステロールの目標値は120mg/dlになります。また、すでに動脈硬化が進み心筋梗塞や狭心症を発症してしまっている人はさらに厳しく考え、LDLコレステロール100mg/dl以下が目標になります。

これらの目標値はなんとなく決められたものではありません。コレステロール治療の様々な研究結果を参考に決められたものです。もともと、コレステロールが高いと心筋梗塞が多いのは分かっていました。しかし、コレステロールを下げたら本当に心筋梗塞の発生が減り、寿命が長くなるかどうかは分かりませんでした。一部では「コレステロールを下げると癌が増えるのではないか」などの心配をする医師もいたのです。そこで、数万人規模でコレステロールを下げた人と下げない人の経過を比べてみる研究が行われました。すると、コレステロールを下げた人のほうで、心筋梗塞や脳梗塞の発生が圧倒的に減りました。一方、癌を含めた他の病気の発症に差は無く、結果としてコレステロールの治療により寿命が延びることが確認されました。同じように、様々な危険因子をもつ患者さんに対して、いろいろな目標値を設定して研究をした結果も分かってきました。いまでは、危険因子が多い場合は、目標値をより下げたほうが寿命は延びることが分かっています。これは単に長生きをするだけでなく、入院や手術を受けなくていい、いわゆる健康寿命が延びることも確認されています。

 

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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