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聴診器

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月報 「聴診器」 2013/06

月報 「聴診器」 2013/0 6/01

先日、仙台に行ってきました。初めて訪れたのですが、街並みがきれいで感心しました。偏西風が山を越えてくるせいか、空気が澄んでいて遠くの山までくっきり見ることができました。少し、海沿いに行くと、荒涼たる風景が広がっていました。崩れた家屋こそありませんでしたが、取り残された家の土台だけが道路沿いにずうっと並んでいました。なぎ倒された木々や電柱はまだ撤去されてないものもたくさんありました。それでも、新しいビニールハウスが並び、高速道路は延長工事が行われています。真新しい電信柱は、これまでのものよりかなり背が高く、幹線道路沿いに何百本も立てられていました。海岸線は目の届く範囲にわたって堤防工事が行われていました。

患者さんの中にも、被災地域に仕事で行かれている方が多々おられます。粛々とした人間の営みに頭が下がります。

16 不整脈2 ⑨いろんな心電図

これまで不整脈のことを話してきました。不整脈の検査の基本は心電図です。心臓には電気が流れていますが、これを体の表面から記録したものが心電図です。四肢と胸部に電極をつけ、右手を陰極左手や左足を陽極にした双極誘導、四肢誘導から仮想のゼロポイントを設定し電極を陽極とした単極誘導などを記録します。12種類の誘導を記録する方法が一般的です。もっとたくさんの電極を付ければもっと詳細な記録ができます。体表面に100個ほどの電極を取り付け記録する体表面マッピング心電図というものもあります。ベクトル心電図は仮想ゼロポイントからある時点での電位の方向と大きさをベクトルで表現したものです。ベクトルの先端を経時的につなげた曲線で表現されます。たくさんの心電図波形を重ねて記録するものもあります。加算平均心電図と呼ばれます。通常の心電図の記録では陽性と陰性の波が記録されます。これを二乗して強制的に陽性とし、100-300発の波形を重ね合わせます。波形を重ね合わせると微小な電位も記録することができます。心室頻拍症などの致死性不整脈を起こす心臓では、障害心筋を電気がゆっくり流れています。加算平均心電図ではこの異常電流をLP(late potential)として記録できます。例えば肥大型心筋症でLPが陽性ならば突然死のリスクが高いと考えられます。T波の変化に注目した機械もあります。心臓に電気が流れて、ふたたび静止状態に戻る時期を再分極過程と呼びます。致死性不整脈ではこの再分極過程の不安定さがきっかけとなることもあります。再分極過程は心電図ではT波に反映されますので、T波の変化具合を見れば再分極の不安定さが推測できるというわけです。これはTWA(T Wave Alternans)という機械です。当院でも加算平均心電図やTWAがほしいのですが、残念ながら手に入れられていません。小倉記念病院にはあるようです。うらやましいですね。

不整脈の診断では、発作時の心電図記録が必要になってきます。都合よく検査時に発作が起きることはまれなので、長時間の記録をすることになります。有名なのはホルター心電図です。携帯電話程度の機械を一日ぶら下げてもらって心電図記録をします。しかし、一か月に1度程度しか起きない発作ではホルター心電図でも記録できないことがよくあります。症状がはっきりしていて数分以上続くような場合はイベントレコーダーを使用します。発作時に自分で心電図をとってもらう機械です。症状が短時間だったり失神をする場合には超長時間記録器を使用します。これは板ガムぐらいの大きさの機械を皮下に植え込み一年ぐらい記録するものです。侵襲的な検査になりますが、症状が重篤の場合には、有用な検査だと思います。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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