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聴診器

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月報 「聴診器」 2013/12

月報 「聴診器」 2013/12/01

皆様の趣味広さに感嘆していましたが、医師の趣味も多彩です。車、マラソン、剣道、楽器、マリンスポーツ、写真などは比較的多いようです。珍しいところでは、射撃や鯉の飼育をされている方がいます。興味があれば、こっそりどの医師の趣味か教えてあげましょう。

17   心エコー⑤ 心エコーで心臓病をみる(先天性心疾患)

前回からの各論の続きです。

vi)先天性心疾患は生まれつき心臓の構造に異常がある病気です。幼少時に発見されることが多いのですが、まれに成人でも見つかります。

心房中隔欠損症は先天性心疾患の代表的疾患です。正常では左心房と右心房の間には心房中隔という壁があります。この病気ではその心房中隔に生まれつき穴が開いています。肺から左心房に帰ってきた血液は左心室だけでなく、心房中隔欠損孔を通って右心房に流れます。右心房では静脈から帰ってきた血液と、左心房から流れ込んできた血液が混じり、右心室から肺へと流れます。このため、肺を流れる血液量は全身を流れる血液量よりも多くなります。心エコーでは心房中隔に欠損孔が観察され、左心房から右心房に流れる血流を認めます。ただし、いろいろな方向から観察しないと見落とすこともあります。特に成人では、心房中隔欠損症は鑑別疾患に上がりにくいので見落としている場合もあります。当院でも、他の病院で見逃されていた症例を時々見かけます。

心室中隔欠損症も比較的多い疾患です。右心室と左心室の間の心室中隔に穴が開いている病気です。左心室から右心室へ血液が流れます。エコーでは左心室から右心室に向かう血流が観察されますが、欠損孔そのものはなかなか見つかりません。

動脈管開存症は、日本で初めて手術が行われた先天性心疾患として有名です。動脈管は肺動脈と大動脈を結ぶ血管で胎児期にのみ存在します。赤ちゃんがお腹の中にいるときには、肺は機能しておらず、血液の流れも成人とは異なっています。臍帯から栄養と酸素をもらった血液は右心房・右心室から肺動脈に流れます。肺動脈から肺へは一部だけが流れ、大部分の血液は動脈管を通って全身循環に回ります。出生後すぐに、産声と同時に肺が膨らみ動脈管が閉じます。動脈管開存症は、何らかの原因で動脈管が開いたままになっている病気です。心エコーでは肺動脈に異常な逆流を認めます。ただし、成人では肺動脈の描出は難しく、肺動脈の詳細な観察は日常の検査では行いません。原因不明の心拡張や心雑音がある時に観察を行います。

ファロー四徴症は、心室中隔欠損、肺動脈狭窄、大動脈騎乗、右心室肥大を特徴とする疾患です。心エコーでは、大動脈がずれて、右心室と左心室にまたがっているのが観察できます。大動脈の起始部の心室中隔は欠損しています。三尖弁逆流から推定する右室圧が高く、肺動脈に狭窄を認めます。肺動脈狭窄を見ておかないと、肺高血圧を合併した心室中隔欠損症と間違えてしまうことがあります。

大血管転位は左心室と右心室の場所が入れ替わる病気です。右旋性大血管転位は重症で成人で見つかることはまずありません。左旋性大血管転位は右心室と左心室の場所が入れ替わっているだけなので、血液の流れは正常と変わりありません。心エコーでもわかりにくいのですが、左心室と思ってみていた心室に乳頭筋が3つあり、実は右心室だったと気づくことで発見されます。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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