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聴診器

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月報 「聴診器」 2015/03

月報 「聴診器」 2015/03/01

心臓リハビリテーション施設の工事がやっと終わりました。皆様には長い間ご迷惑をおかけしました。心臓リハビリテーション施設は、心疾患のある患者さんに効果的に安全に運動をしてもらう施設です。心疾患に対する運動療法は優れた治療効果があり、標準治療として推奨されています。しかし、大きな病院にしか専用施設がなく、地域での継続が課題でした。残念ながら、診療所で心臓リハビリテーション施設を有するところはごくわずかしかありません。

多くの方に快適に運動療法に取り組んでいただくために、基準の4倍の広さを用意しました。4月の稼働を目指して、スタッフ一同で着々と準備を進めています。3月下旬には内覧会も準備しています。冷やかしで結構ですので、是非見に来てください。

18 生活習慣 ⑫有酸素運動の効果

前回は運動には有酸素運動と無酸素運動があることを説明しました。有酸素運動は酸素と栄養が供給され続ければ、長時間運動を続けることが可能です。いわゆる「ニコニコペース」というやつです。長時間続けることで、持久力の向上や、生活習慣病の改善が期待できます。

まず、確実に得られるのがダイエット効果です。運動開始当初は糖分が主に栄養分として使われますが、10-20分を過ぎると脂肪が栄養源となります。一日30分以上の有酸素運動を続ければ、脂肪が消費され、体重を減らすことができます。

生活習慣病の改善は、主にインスリン抵抗性の改善を通して得られます。筋肉はインスリンに反応して糖分を取り込みます。糖尿病や糖尿病予備軍ではインスリンに対する筋肉の反応が弱まっており、この状態を「インスリン抵抗状態」と呼びます。インスリン抵抗状態では、通常のインスリン量では筋肉が糖分を取り込めなくなっています。そこで、すい臓が無理に多量のインスリンを分泌して、とりあえず血糖値を下げるようになっています。最初は、すい臓が無理をし続けられますが、いつかは疲れ果ててしまいます。そうなれば、血糖値を下げることができずに糖尿病を発症するようになります。インスリン抵抗状態は糖尿病だけでなく、高血圧や高脂血症の原因にもなっています。運動不足や、アルコール、食べ過ぎによりインスリン抵抗状態となってしまいます。一方、長時間の有酸素運動を続けることでインスリン抵抗性が改善することがわかっています。糖尿病には長時間の有酸素運動を勧めますが、運動自体によるカロリー消費効果よりも、実はインスリン抵抗性改善がターゲットです。インスリン抵抗性改善により持続しての血糖降下作用が得られるのです。

自律神経には、心拍をあげて血圧を上げる交感神経と、心拍を下げて血圧を下げる副交感神経があります。両者のバランスによって体の機能は制御されています。両方とも大切な神経ですが、交感神経が優位になりすぎると、血圧が上がったり、体調不良の原因になったりします。心疾患のある患者さんでは、交感神経優位状態は不整脈や心不全の原因になったりします。有酸素運動中は、無酸素運動と比べて交感神経の緊張度合いが低いことがわかっています。また、定期的に有酸素運動を続けることで副交感神経優位な体質に変化し、心臓が長持ちをするようになります。

ほかにも、有酸素運動には、血流の改善、心拍出量増加、認知機能の改善、がんの発生予防の効果も期待されています。

上野循環器科・内科医院 上野一弘

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