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聴診器

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月報 「聴診器」 2016/10

月報 「聴診器」 2016/10/01
急に涼しくなりましたね。過ごしやすくなってきましたが、感染症が増えてきています。早くもインフルエンザの患者さんを数人診ました。マイコプラズマ肺炎も、ちらほらいらっしゃいます。皆さんも用心してください。
当院の看護師さんが「心臓リハビリテーション指導士」の資格を修得しました。合格率30%の難関を突破しての結果です。とても誇らしいことと思います。パチパチパチ。当院の心臓リハビリテーション施設もより充実したものになるだろうと期待しています。
22 弁膜症2 ③大動脈弁疾患
今回は大動脈弁の病気です。大動脈弁は左心室と大動脈の間にある弁です。左心室が収縮して血液を大動脈に送り出すときには大動脈弁は開きます。開いた大動脈弁を通って血液は大動脈に流れます。逆に、左心室が拡張している間は大動脈弁は閉まります。拡張期に血液は左心房から左心室に流れますが、大動脈から左心室に血液が逆流しないように大動脈弁は閉じる必要があります。大動脈弁は三枚の弁で構成されていて、閉じたときにはお尻のような形になり、弁尖がピッタリと合わさります。
この大動脈弁が固くなり、あまり開かなくなることがあります。これを大動脈弁狭窄症と言います。大動脈弁の開きが悪く、血液の通り道が狭くなってしまいます。左心室が収縮しても血液が大動脈にスムーズに流れなくなってきます。心臓の出口が狭くなっていますので、左心室の中の圧力と、大動脈の圧力に差が出てきます。細いストローで息を吹くような感じです。すると、左心室に大きな負担がかかりますので、左心室の壁が厚くなってきます。狭窄がひどくなれば、左心室は疲れきってしまい心不全や、突然死をきたすこともあります。また、左心室の中より血圧は低くなりますので、ひどい場合には頭の血流が低下して失神をしたりもします。
大動脈弁狭窄症の原因はいろいろあります。子供のころのリウマチ熱によるものや、高血圧なども原因となります。加齢は最も多い原因の一つで、高齢になるほどこの病気は増えてきます。軽症であれば、心臓の負担をとるような薬を使用します。重症であれば、手術をする必要があります。
大動脈弁の閉じが悪くなる病気もあります。大動脈弁閉鎖不全症と言います。左心室が収縮して血液を大動脈に送っても、拡張期に大動脈弁が閉じないので、大動脈から左心室に血液が戻ってきてしまいます。たとえば、左心室が100mlの血液を送り出しても、50mlが逆流してしまうのです。左心室には、左心房から来る血液と、大動脈から逆流してくる血液が流入してきますので、左心室はどんどん大きくなってきます。沢山の血液を送り出さなければならないので心臓はそのうち疲れてしまいます。大動脈弁閉鎖不全症も重症になれば、失神、心不全、突然死をきたします。
大動脈弁閉鎖不全症の原因もいろいろあります。高血圧や、加齢も大きな原因です。そのほかにも、大動脈が進行性に拡張する病気(AAE)や動脈瘤、大動脈炎症候群、大動脈二尖弁なども大動脈弁疾患の原因となります。
治療は、軽症では薬物療法を行い、重症であれば手術を行います。ただし、左心室の機能があまりにも悪くなると手術が難しくなるため、僧帽弁疾患より、やや早めに手術をする必要があります。手術は弁を取り替える、弁置換術が主流ですが、最近は可能であれば弁を修復する手術も多くなってきています。                    上野循環器科・内科医院  上野一弘

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