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月報「聴診器」1月号発行しました!

月報 「聴診器」 2024/01/01

あけましておめでとうございます。いろいろな感染症が猛威を振るっていますが、2019年以前の冬もこんな感じだった気がします。やっぱり冬は感染症の季節で、COVID-19普通の感染症の一つになりつつあるのでしょうか。

 

32 検査2 超音波検査①

今回からは超音波検査の説明です。俗にエコー検査と呼ばれています。「音」とは空気や水の振動です。振動には周期があり波長があります。短い波長の音は高く聞こえ、長い波長の音は低く聞こえます。人の耳に聞こえる音は20Hzから20KHzと言われていますが、超音波検査では2.5MHzから12MHzのものを利用します。音波は物にあたると反射する性質があり、音を出してから反射が帰ってくるまでの時間を測ると対象物までの距離がわかります。やまびこで説明すると、山が遠ければやまびこが帰ってくるまで時間がかかりますよね。そのことと一緒です。また、物によって反射の性質も異なります。かたいものは強く反射しますし、柔らかいものは鈍く反射します。以上を利用して体の中を調べる検査が超音波検査です。原理は魚群探知機と一緒です。

超音波は水の中を良く伝わりますが、空気の中はあまり伝わりません。超音波検査器ができた当初は、超音波を体にうまく当てることができませんでした。体と超音波発生器や受信器との間に空気の層ができてしまうためです。当初は、患者さんを水の入ったドラム缶に入れて超音波検査をしたこともあるそうです。その後、端子の開発や検査用ゼリーの開発が進み端子を直接体に当てて検査ができるようになりました。しかし、当初は一本しか超音波ビームが出ない為、画像表示は直線しかできず「A モード」と呼ばれる表示をしていました。対象物までの距離を横軸に、超音波の反射の強さを縦軸にしたものです。これだけみても、「何cm下になにかものがあるんだな」しか分かりません。次に、時間経過を横軸に対象物までの距離を縦軸にして反射波の強さを白黒で表示する方式が考えだされました。我々は「M モード」と呼んでいますが、これで心臓の動きや弁膜症の検査ができるようになりました。しかし、これを解読するには、かなりの解剖学的知識と想像力が必要とされる名人芸でした。その後、超音波ビームを左右に振ったり、同時に多数の超音波ビームを出すことで断面図を表示することができるようになりました。これは、B modeと呼ばれます。一般的に超音波検査の画面はこのB modeで表示します。最近ではさらに超音波ビームを増やし、対象物を三次元で表示する方法も開発されています。

対象物が動いていると、反射した超音波の性質が変化します。超音波端子から去っていくものは波長が長くなり、近づくものは波長が短くなります。救急車が近付くときにはサイレンが高く聞こえ通り過ぎるとサイレンが低く聞こえますが、それと同じ理屈です。これはドップラー効果と呼ばれています。この原理を利用すると体内で動いているものがよくわかり、特に血流を調べるのに大変便利です。ドップラー検査を利用すると血流の方向が分かりますので、弁膜症などで血液が逆流している様子がよくわかります。また、どれだけ波長が変化したかを計算すると流速も分かります。このことを利用して血管の狭窄度を知ることができますし、弁の面積や肺の血圧を測定することもできます。最近ではドップラーの精度がさらに良くなり、組織の動きも定量的測定することができるようになってきました。これは、組織ドップラー法と呼ばれています。

                           上野循環器科・内科医院  上野一弘

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