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月報「聴診器」8月号発行しました!

月報 「聴診器」 2023/08/01

7月中旬から急に新型コロナ感染症が増えてきました。小児科ではインフルエンザやヘルパンギーナも多いそうですが、当院では発熱や咽頭痛に検査をするとほとんどで新型コロナウイルス検査が陽性になります。ワクチンのおかげで数日中に軽快する人が多いのですが、中には重症化する人や症状が長引く人もいらっしゃいます。やはり出来るだけかからないほうがいい病気ですね。

 

31 血管病変2 ⑤その他の血管病変

前回までは、動脈瘤や静脈瘤など比較的一般的な血管疾患について説明をしました。しかし、血管病変の中には珍しい疾患もあります。

見落としがちなのが大動脈炎症候群です。大動脈炎症候群は大動脈やそこから分岐する中ぐらいの血管に炎症が起きて、血管が狭くなったり詰まったりする病気です。どこの血管に病変があるかによって症状が変わります。例えば右鎖骨下動脈に病変があれば右腕に行く血管が詰まってしまい、右橈骨動脈が触れなくなります。左鎖骨下動脈が詰まればやはり左橈骨動脈が触れにくくなるだけでなく、失神をすることもあります。左鎖骨下動脈が詰まると脳に行く血管を経由して左腕に血液供給されます。左腕が必要とする血流量が増えると、脳に行くべき血流が減って腕のほうに流れてしまいます。こうなると脳の血流が足りなくなり気を失ってしまいます。これは腕が脳から血液を「盗む」ので盗血現象と呼ばれます。大動脈の起始部に病変があれば大動脈弁閉鎖不全症を起こすことがあります。そのほかにも足の血管や首の血管に病変が及ぶこともあります。大動脈炎症候群は、発見者の名前をとって「高安病」と呼ばれることもあります。若年女性に多いそうですが、炎症の段階では不明熱だったり倦怠感だけだったりと特有の症状がないので発見が非常に難しく、その後に血管狭窄や弁膜症が進んで診断がつくことがほとんどです。血管狭窄に対してはバイパスやステント治療を行い、炎症に対しては抗炎症剤を使用することがあります。

似たような病気に線維筋性異形成(FMD)という病気があります。動脈硬化でも炎症でもなく血管壁が厚くなり、血管内腔に狭窄を来す疾患です。好発部位は腎動脈です。腎動脈が狭窄すると腎臓から血圧をあげるホルモンが出て血圧が高くなってしまいます。比較的若い女性で難治性の高血圧がある場合にはこの病気を考えます。エコー検査でスクリーニングを行い、CT検査で確認を行います。狭くなった腎動脈をカテーテルで広げれば、腎血流が回復し血圧が下がります。

もやもや病という病気では脳の血管が閉塞します。内頚動脈末端が閉塞することが多く、血流を補うため小さな血管が拡張して異常血管網を作ります。血管造影をするとこの異常血管網がモヤモヤと見えるので「もやもや病」という名前がついています。過換気、例えば笛を一生懸命吹くときなどに血管が狭くなり失神などの症状を起こすことがあります。また、本来微小な血流しか流さない血管が拡張しているので脳出血を起こすことがあります。

巨細胞性動脈炎は高齢者に起きやすい疾患で、以前は「側頭動脈炎」と呼ばれていました。主に側頭動脈が炎症を起こし、頭痛や発熱が出現します。目に行く動脈に炎症が及べば失明することがあります。顕微鏡的微小血管炎は膠原病の一種です。腎臓糸球体の血管など顕微鏡で見えるレベルの血管で炎症が起きて、臓器不全を起こします。

  上野循環器科・内科医院  上野一弘

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