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聴診器

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月報「聴診器」1月号発行しました!

月報 「聴診器」 2020/01/01
新年あけましておめでとうございます。令和になって最初のお正月ですね。年賀状は「平成」と書かないように注意をしていましたが、ついつい「令和元年元旦」と書いてしまいました。投函する直前に気が付いて、全部書き直しました。仕事では、こんなうっかりミスが出ないように頑張ります。

27 高血圧2-③
前回は、高血圧による心臓の障害を説明しました。しかし、高血圧は心臓だけに障害を与えるわけではありません。心臓と同じぐらい高血圧と関係がある臓器が腎臓です。腎臓病は高血圧によって引き起こされることがありますし、逆に腎臓病によって血圧が上がる場合もあります。
腎臓は背骨の両脇にある、こぶし程度の大きさをした臓器です。血液の老廃物を尿として排出している臓器です。しかし、単なる濾過装置でなく、血中のイオンバランスを調節したり、血圧をコントロールする大切な働きもしています。腎臓には動脈から血液が流れ込み、いくつにも枝分かれし、最終的には糸球体という、血管が毛玉のように固まった構造物に行き着きます。糸球体は大変小さなもので、ひとつが0.2mm程度しか有りません。ひとつの腎臓にはこれが100万個ほど詰まっています。血液がこの糸球体に入ると、老廃物や不必要な水分などが血管の外に押し出され、原尿となります。原尿は大変薄いもので1日100リットルも作られます。その後、原尿は尿細管という細い管を通り濃縮され、いわゆる尿と成ります。糸球体での濾過、尿細管での尿濃縮は、腎臓が尿を作るための大切な機序なのです。血圧が高くなれば、糸球体に高い圧力がかかります。高い圧力がかかれば、糸球体はつぶれてだめになってしまいます。一度つぶれた、糸球体は二度と元に戻りません。それだけでなく、糸球体の数が減ってくると、腎臓は血圧を上げるホルモンを放出します。このため、高血圧による腎不全が始まると、益々血圧が上昇し、上昇した血圧が更に腎臓を傷害する悪循環に陥ります。最終的には、腎臓が全く働くなり尿毒症をおこしたり、全身や肺がむくんで死亡したりします。現代では、この段階で人工透析が開始されます。
この悪循環を断ち切るためには、血圧を下げることが一番になります。血圧を下げることで、糸球体にかかる負担を減らしてあげるのです。以前は、糸球体内の圧力をより下げることの出来る薬を使用したほうが、腎臓を守る作用が強いといわれていました。10年前の月報では僕もそう書いています。しかし、最近では薬剤の種類によらず血圧を下げることが一番重要といわれています。腎臓障害は初期には大変わかりにくく自覚症状はあまりありません。採血検査では、以前はクレアチニンを見ていましたが、最近ではeGFRを重要視するようになっています。採血の伝票の青い二枚目に印刷されているやつです。また、尿に蛋白がでる場合には、eGFRが正常でも早期の介入が必要とされています。
もちろん、高血圧以外の原因でも腎臓は悪くなります、糖尿病性腎症、多嚢胞性腎臓、腎血管狭窄症、急性腎炎、慢性腎炎、IgA腎症などの病気になれば腎臓が障害を受け、血圧も上昇していきます。このような場合では、原疾患の治療を行いながら、血圧もコントロールすることで腎臓障害の進行を遅らせると考えられています。特に糖尿病性腎症では、より血圧を下げることで透析への移行を遅らせることが確認されています。さらに、厳格な血圧コントールを行うことで、糖尿病合併症を防げることも分かっています。
上野循環器科・内科医院  上野一弘

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