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月報「聴診器」10月号発行しました!

月報 「聴診器」 2023/10/01

前回の「月報」では静脈瘤の手術を報告していましたが、今度は検査の報告です。9月にドックで上部消化管内視鏡検査を受けてきました。悪性疾患のスクリーニングのためには上部消化管内視鏡はすぐれた検査で、患者さんにも奨励しています。でも、実は僕はこの検査が非常に苦手です。嗚咽反射がひどくて、なかなか苦しい思いをしています。今回は事前に消化器内科の友人にコツを教えてもらい検査に挑みました。力を抜いて、舌やのどをできるだけ動かさないほうが良いそうです。おかげで何とか検査を乗り切ることができました。前回に引き続き、患者さんの心細さも身をもって知ることができました。

 

32 検査2 ②血液検査 特殊な項目

前回は一般的に行う血液検査について説明しました。今回はあまり一般的でない血液検査について説明します。

・甲状腺機能検査は比較的行うことの多い検査です。甲状腺は喉のところにある臓器で甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは体の元気を出すためのホルモンで、足りなくなれば元気がなくなり、むくみが出てきます。甲状腺ホルモンが多すぎると、動悸がしたり痩せたりします。甲状腺の検査ではTSHとf-T4を測定します。TSHは甲状腺刺激ホルモンのことで、f-T4は甲状腺ホルモンのことです。甲状腺ホルモンが低下すれば、TSHが高値になり、f-T4が低値になります。

・BNPやNT-proBNPは心不全の状態を表します。正常は20以下ですが、高血圧があれば40-80程度にはあがります。BNPが100を超えれば(NT-proBNPなら400を超えていれば)、心不全として治療を考えます。

・高血圧の大部分は本態性高血圧で体質的なものです。しかし、少数ながら二次性高血圧も存在します。若年性高血圧や重症高血圧で、二次性高血圧を疑う時は、レニン活性、アルドステロン、ドーパミン、アドレナリンなどを測定します。これらは血圧を上げるホルモンです。これらのホルモンを分泌する腫瘍があると血圧が上昇します。

・D-ダイマーは血栓が少し溶けるときに出てくる物質です。D-ダイマーの上昇は血栓の存在を示します。肺塞栓や大動脈解離などで上昇しますので、胸痛時の鑑別に有用な検査です。また、重症感染症などでもDダイマーは上昇します。

・膠原病や関節リウマチは自分の免疫が自分自身の臓器を攻撃して引き起こされる病気です。膠原病の検査では自己抗体を測定します。代表的な自己抗体は坑核抗体です。抗核抗体には抗DS-DNA抗体や坑セントメア抗体など多くの種類があります。抗核抗体のほかにも、ANCA抗体や抗Jo-1抗体などの自己抗体があります。関節リウマチでは抗CCP抗体が上昇します。ただし、自己抗体があるから必ずしも膠原病とは限りません。診断は臨床症状やその他の検査所見を総合して行われます。

・CEA, CA19-9, PSA, SCCなどは腫瘍マーカーと呼ばれます。がんによって高値になります。ただし、腫瘍マーカーが高ければ必ずがんがあるわけではありませんし、がんだから必ず腫瘍マーカーが高いわけではありません。「腫瘍マーカーが高ければ、がんの可能性がある。」程度に思ってください。

 

  上野循環器科・内科医院  上野一弘げ

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