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聴診器

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月報「聴診器」9月号発行しました!

月報 「聴診器」 2020/09/01

今夏には新型コロナウイルス感染は東京や夜の街を震源とした全国的な第二波が到来しました。全国的にはピークは過ぎ徐々に新規感染者は減少傾向ですが、福岡では減少スピードが鈍いようにも見えます。高齢者では重症者、死亡者は増加傾向にあるようです。今後は、もう少し増えてくるかもしれません。新型コロナウイルス感染症は、少し気を緩めるとあっという間に広がっていきます。第二波がおさまっても会食は控えるようにしてください。

僕の論文が「心臓」という雑誌に掲載されました。「心臓」50年の歴史のある雑誌で、循環器の和文学術誌では一番権威があります。内容は、SGLT2阻害薬という糖尿病の薬が、どのように心臓を保護するかを調べた研究です。小さな業績ですが、心不全治療の進歩に役立てれば大変うれしいと思います。協力いただいた患者さんやスタッフには心から感謝します。

 

27 高血圧2-薬物治療 利尿薬 アルドステロン拮抗薬

利尿薬はかなり昔から使用されていた薬です。降圧薬の中では一番古い種類になります。高血圧の原因の一つに塩分過多の状態があります。体内の余分な水分と塩分は腎臓から尿として排泄されます。この時、まず腎臓は多量の尿(原尿)を作り途中で塩分と水分を再吸収するようにしています。利尿薬は、この再吸収を抑制することで塩分と水分の排泄量を増やします。特に、日本人のように塩分摂取が多いタイプには利尿剤による降圧効果が有効なことが多いようです。ラシックス、ダイアート、フルイトランなどがこれにあたり、心不全のコントロールにも使用しています。しかし、尿酸値が高くなったり、糖尿病が悪化することが多いため、様々な降圧薬が開発されると使用が敬遠されるようになって来ました。

ところが、最近再び利尿薬の使用量が増えてきました。きっかけは「ALLHAT」や「SPRINT」という海外での研究結果でした。これは製薬会社の関与を出来るだけ排除した研究で、「どの降圧薬でいくつまで下げたらよいか」との疑問に答えるために行われたものです。それまでは、新開発の薬のほうが有利な結果が出るような研究が多かったのですが、この研究では①血圧は低ければ低いほどよい、②降圧薬の種類は何でもいい、③利尿剤で悪いことはない、との結果が得られました。研究は背景や手法がそれぞれ異なるのですべての症例に適応できるわけではありませんが、利尿薬はおおいに見直されることになりました。特に、アンギオテンシン受容体拮抗薬やアンギオテンシン変換酵素阻害薬で十分な降圧効果が得られない症例に対しては、利尿剤は非常に有効であるといわれています。僕も、なかなか血圧が下がらない方には利尿薬を処方していますが、副作用の出現をチェックするように努めています。

アルドステロン拮抗薬も利尿作用を持つ薬ですが、最近は通常の利尿薬とは別のグループとして考えるようになっています。レニン・アンギオテンシンは血圧を上げるホルモンのシステムで、これをブロックする薬(ACE阻害薬やARB)で血圧が下がります。このレニン・アンギオテンシンシステムの最下流がアルドステロンになります。アルドステロンは腎臓に働き、Naの再吸収などに働きます。アルドステロン拮抗薬はこのアルドステロンの働きを阻害することで血圧を下げますが、心臓の保護作用があることが知られています。高Kや女性化乳房などの副作用がありますが、最近では女性化乳房の起きにくい薬も開発されています。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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