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聴診器

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月報 「聴診器」 2009/10

月報 「聴診器」 2009/10/1

 

新型インフルエンザ徐々に増えています。大流行した沖縄の報告では入院を要した症例が0.5%、重症例が0.02%、死亡例が0.004%だったそうです。重症者は思ったより少なかったようですが、働き盛りの人の感染が多く、社会的インフラの維持が大変だったそうです。

油断は禁物ですが、過剰に恐れることはないとの印象を受けました。

 

11 脳卒中④ 脳梗塞

今回は脳梗塞について説明します。脳梗塞は脳の血管が詰まって脳細胞の一部が死んでしまう病気です。どこの部分の脳細胞が死ぬかによって症状が異なります。右手を動かす脳細胞が死んでしまえば、右手が動かなくなります。左手の感覚を感知する脳細胞が死んでしまえば左手の感覚が鈍くなります。

脳梗塞が麻痺として発症する場合は、片方の手足の麻痺がでます。右なら右手と右足が麻痺します。左なら左手と左足が麻痺します。左右同時に麻痺が出ることはほとんどありません。これは、脳の運動野で同側の手足を動かす神経細胞が近くに存在するためです。感覚障害の場合も同様に片方だけに出ますが、同側の口の周りの痺れを伴うことが多いようです。同側の手足の感覚をつかさどる神経細胞と、口の周りの感覚をつかさどる神経細胞が近くにあるためです。

言葉がうまく出なくなるのも、脳梗塞を疑う症状です。これには、言葉を思いついてもうまくしゃべれなくなる「構音障害」と、言葉そのものを思いつけない「失語」という状態があります。構音障害はしゃべる筋肉の麻痺によるもので、失語は運動性言語中枢の障害です。

食べ物がうまく飲み込めなくなる場合もあります。嚥下障害と呼ばれます。嚥下障害の問題は二つあります。一つは食事量が減るための栄養不足です。もう一つは、食べ物が食道ではなく気管に入ってしまう誤嚥です。誤嚥は肺炎を引き起こすため予後を悪化させる原因となります。

小脳に脳梗塞が起これば、ふらつきが出現します。ぐるぐる回るようなめまいよりも、ふわふわするようなめまいが多いようです。足をそろえて立てなくなったりもします。

珍しい症状もあります。後頭葉に脳梗塞が起きれば視野障害が出ます。これは、「右目が見えない」といったように、右目左目に起こるものではありません。右視野が障害を受けた場合には、右目の右視野と左目の右視野が見えなくなります。左視野障害であれば、両目の左視野が見えなくなります。聞こえが悪くなることもあります。耳や鼓膜には問題なくとも、脳の言語を理解する部位に脳梗塞が起こると、言葉の内容がわからなくなります。音は聞こえているのに、言葉が理解出来ない状況です。

はっきりとした症状で無く、認知症として脳梗塞が発症する場合もあります。脳血管性認知症と呼ばれます。あちこちに、小さな脳梗塞が沢山ある場合になりやすいようです。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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