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聴診器

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月報 「聴診器」 2009/11

月報 「聴診器」 2009/11/01

 

ながらくご迷惑をおかけしていた新診療所ですが、ようやく完成が近づいてきました。このまま、順調に行けば年内には新診療所に移転できそうです。

 

11 脳卒中⑤ 脳梗塞その2

前回は脳梗塞の症状について説明しました。脳梗塞は脳の血管が詰まって脳細胞の一部が死んでしまう病気です。どこの部分の脳細胞が死ぬかによって症状が異なります。血管の詰まり方にも種類がありますが、大きく動脈硬化性脳梗塞と心源性脳塞栓に分けられます。

高血圧や糖尿病により動脈硬化が進行します。動脈硬化が進行すれば、動脈の壁が厚くなり、内腔が狭小化していきます。プラークという脂の塊が血管の壁に出来ることもあります。動脈硬化性の脳梗塞には、「ラクナ梗塞」と「アテローム血栓性脳梗塞」に分かれます。

ラクナ梗塞は脳の穿通枝という細い動脈が狭くなり小さな脳梗塞を起こすものです。症状が無い場合もあります。アテローム血栓性脳梗塞はもう少し太目の血管の閉塞で起こります。血管のプラークが破けると血液がそこで固まり血栓を作ります。この血栓が大きければ血管が詰まってしまい、脳梗塞を起こします。

心源性脳塞栓症は心臓でできた血栓が、血流に乗って脳に届き、脳の血管が詰まってしまう病態です。心臓で血栓が出来る原因としては、不整脈や弁置換術後があります。心房細動という不整脈では、心房が常時震えた状態になっています。このため、心房内で血液はゆっくり流れます。川が淀んだ場所を想像してください。血液は流れていないと固まる性質がありますので、心房細動時の心房では容易に血栓を形成してしまいます。この、心房細動による脳梗塞は長島茂雄さんが発症したことでも有名です。

重症の弁膜症で人工弁置換術をした場合にも血栓を作ります。血液は異物に接すると固まる性質があるため、機械弁で血栓を作りやすい傾向があります。人工弁に大きな血栓が出来れば弁がうまく動かなくなって心不全を起こします。そこまで大きくはない血栓が出来れば、血流に乗って脳に運ばれ脳の血管をつめてしまいます。総理大臣だった小渕恵三さんの脳梗塞がこのパターンです。まれですが、心臓腫瘍などで腫瘍の一部がちぎれ飛んで、脳塞栓を起こすこともあります。

少し変わった脳塞栓症もあります。足などの静脈で血栓を作ることがあり、深部静脈血栓症と呼ばれます。足がはれたり、むくんだりする原因となります。この血栓が血流に乗って飛んでいくと心臓から肺動脈へ流れ、肺の血管が詰まります。これは肺塞栓と呼ばれます。俗に言う、エコノミークラス症候群ですね。まれに、心臓に小さな穴が開いている人がいますが、この場合、静脈からの血栓がこの穴を通ることがあります。血栓が穴を通ると動脈に血栓が流れ、脳梗塞を起こすことがあります。これは奇異性塞栓と呼ばれます。

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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