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聴診器

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月報 「聴診器」 2017/07

月報 「聴診器」 2017/07/01

今年は梅雨になってもあまりまとまった雨は降りませんでしたね。ただし、梅雨は後半のほうが豪雨になりやすいそうです。南方のあたたかく湿った空気が北上してくると雨が激しくなるそうです。過去には大水害もこの時期に起きています。

またこの時期は熱中症が多くなる時期でもあります。温度の変化に体が付いていけない、湿度が高いせいで体温調節がうまくできないことなどが原因と言われています。熱中症は時に重症化する疾患です。あまり我慢をせずにエアコンを使用してください。

 

24 心不全①  心不全の症状

前回は、大まかに心不全の病体について説明しました。では、心不全のときにはどんな症状が出てくるのでしょう。心不全には二つの病態が潜んでいます。拡張不全によるうっ血と、拍出量不足による組織の血流不足です。したがって症状も二種類に分けて考えられます。うっ血のほうでの症状はむくみとなって現れます。足がむくむとき、顔がむくむときは心不全を疑います。足のむくみは「靴下の痕がはっきり残る」「足が重たい」などの訴えとなることが多いようです。顔のむくみは本人は気がつかないことが多く、家族や医師から指摘されることが多いようです。僕は、診察中には必ずまぶたを見るようにしています。肺がむくめば、酸素を上手に取り込めなくなり息苦しくなります。肺は小さな泡が集まったような構造をしていますが、酸素はこの泡の壁の部分から吸収されます。まず、この壁の部分からむくみが始まり、酸素の吸収が低下するのです。むくみが進めば気管支や肺の外側にも水がたまります。

最初は、無理な運動をすると息苦しく感じますが、心不全が進めば少しの動作で息苦しさを感じるようになります。やがて、じっとしていても息が苦しくなります。心不全のときには寝ると息苦しさが悪化するのが特徴です。これは、寝ることで足の静脈血が胸に帰りやすくなり、結果的に肺のむくみが増悪するからです。このとき、血液中の酸素が低下するため、爪や唇がどす黒くなります。このとき、肺胞から水が染み出してきて痰が多くなりますが、典型的には水っぽいピンク色の痰が出ます。ここまで進めば、救急車で即、入院です。

また、心不全では心拍出量が減り、全身の臓器に血液が不足します。四肢の血流が不足すれば、手足が異常に冷たくなって色が悪くなります。頭の血流が不足すればフラフラします。腎臓の血流が不足すれば尿が少なくなります。ひどい場合には、冷や汗が出て身の置き所の無いきつさに襲われます。心拍出量の不足によって腎血流が低下すれば、尿が減り、うっ血がひどくなります。また、うっ血がひどくなれば心臓の負担が増え、心拍出量が更に低下します。むくみと、血流不足の悪循環が存在するのです。

もともと心臓が悪い人が無理をすると、心不全が増悪しやすくなります。たとえば、いきなり力仕事を沢山するとか、感染症にかかるとか、塩分の多い食事をするなどのきっかけで、症状が悪化することが多いようです。症状が軽度の心不全でも、無理が重なり悪循環が始まれば、瞬く間に増悪していきます。実際、こちらがヒヤリとすることもしばしばです。疑わしい症状があれば、無理せず安静にして早めに受診してください。

 

上野循環器科・内科医院  上野一弘

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