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聴診器

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  • 月報 「聴診器」 2016/12

    月報 「聴診器」 2016/12/01
    今年は比較的気温の高い秋だったようです。11月も例年よりも暖かな日が多かったですね。それでも感染症の患者さんは多かったようです。特に、肺炎が多い印象がありました。よくノロウイルスやインフルエンザで大騒ぎになりますが、実はこれらの感染症による死亡はそれほど多くはありません。肺炎や腎盂炎、胆嚢炎のほうがかなり重症の病気で、敗血症から死に至ることもあります。医学的には常識のことですが、意外と知らない方が多いように思います。
    風邪がこじれて肺炎になるケースが多くあります。風邪はほとんどの場合はウイルスが原因で、「風邪薬」は効きません。抗生剤もウイルスには無効です。薬局や医者は風邪の症状を緩和するだけの薬を「風邪薬」と称して売っているだけです。具合の悪い時は「風邪薬」を飲んで無理をしてもよくはなりません。しっかり休息をとることが大切です。もちろん、禁酒禁煙です。
    22 弁膜症2 ④弁膜症の手術
    弁膜症の根治療法は手術になります。弁が機械的に壊れているわけですから、薬や生活習慣の改善では心臓の負担をとることはできても、弁そのものを修復することはできません。
    基本的には開胸開心しての弁置換術が行われます。胸骨を切開して開胸器で胸を開きます。心嚢を切開すると心臓本体が現れます。心臓が動いたままでは手術はできませんので、人工心肺を使用して血流を確保し、心臓自体を停止させます。心臓を切り開き弁の部位に到達すると弁輪を切開し、病気の弁を取り出します。つぎに人工弁を弁輪に縫い、心臓の切開部を縫合し、心拍を再開させます。人工心肺を離脱させて、心膜を縫合します。胸骨は糸ではなく、丈夫なワイヤーで固定させます。術後に心拍が不調になることもあるのでペーシング用の電極を体の外に出しておきます。もちろん、他の部位の手術と同じようにドレーンも留置します。簡単に書きましたが、非常にむずかしい手術で、高度なテクニックとシステムが必要です。心臓外科の手術に立ち会うと、我々内科医は感嘆し、無条件に心臓外科医を尊敬してしまいます。
    術後は心不全や不整脈の管理が必要になります。感染症や心膜炎の早期発見も必要になります。術後の不安定な時期を乗り切り、日常生活が可能になれば退院です。人工弁に機械弁を使用すると、血栓が付きやすくなります。血栓が人工弁につくと弁がうまく開閉せず、再び心不全を起こします。弁の動きが制限されずとも、人工弁に血栓が付けば血栓が飛んで脳梗塞を起こすことがあります。このため終生ワーファリンを飲む必要があります。豚の弁を利用した生体弁では、比較的血栓が付きにくく、ワーファリンは不要となります。しかし、以前の生体弁は耐用年数が短く、基本的には機械弁が選択されていました。最近は、生体弁の耐用年数も延びたためか、生体弁が選択されることが増えてきています。
    生体弁よりも、より自然に近いのは弁修復術です。例えば、腱索が切れたために僧房弁後尖がずれて僧房弁閉鎖不全症になった場合ですと、切れた腱索を上手に修復すると後尖がずれなくなり僧房弁閉鎖不全症は完治します。ほかにも、狭くなった弁を切り開いたり、弁輪を縫縮するなどをして弁の機能を回復させることが出来ます。この場合は、自分の弁を使用していますのでワーファリンは必要なくなります。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/11

    月報 「聴診器」 2016/11/01
    10月29日に心臓リハビリテーション学会九州地方会が行われました。多くの医療機関が参加し、興味深い講演もありました。当院でも研究結果を発表しています。僕は診療があったので、講演は心リハ主任さんにお願いしました。お疲れ様でした。クリニックで本格的に心臓リハビリテーションを行っているところは珍しいので、興味を持ってもらえたようです。
    22 弁膜症2 ④弁膜症の症状や検査
    前回まで、弁膜症のあらましについて説明しました。では、弁膜症の患者さんはどうやって診断されるのでしょう。まさか、「私は大動脈弁狭窄症です」と言って患者さんが来られるわけではありません。弁膜症そのものの特異的な症状はありません。多くは、心不全や不整脈の症状を呈して来院されます。息が苦しい、足がむくむなどは心不全を疑わせる症状です。診察時に聴診で雑音が聴取されると弁膜症による心不全の可能性が高いです。心電図は、弁膜症に特異的な変化はなく、頻拍や心負荷所見を呈することがあります。胸部レントゲン写真では心臓が大きくなっていたり、肺が浮腫んでいる所見がみられることがあります。しかしながら、これらの所見も弁膜症に特異的なものではありません。やはり、弁膜症診断の主役はエコーになります。
    心エコーでは超音波を利用して、心臓の構造や動きが見ることができる検査です。弁の動きもよく観察することができます。弁が正常の構造をしているのか、硬くなっていないかを観察できます。弁の動きを観察すれば、弁が開放すべき時にちゃんと開放しているのか、閉じるときに弁尖がずれずに閉じているかを見ることができます。弁の開放が不十分な時には、弁口面積を測定し、重症度の指標にすることもできます。また、エコーではドップラーという機能が付いています。これは血流を見ることができる検査方法です。カラードップラー法では近づく血流を赤、遠ざかる血流を青で表示します。こうすると、心臓の血流をリアルタイムで観察することができます。僧房弁では左心房から左心室に向かう血流を観察することができますが、収縮期に左心室から左心房に流れる血流が見つかれば、逆流と判断できます。大動脈弁では左心室から大動脈に向かう血流が正常で、大動脈から左心室に流れる血流が逆流になります。ドップラー検査では血流速度もわかります。血流速度がわかればおおよその圧較差もわかります。例えば、大動脈弁狭窄症では重症なほど、左心室と大動脈の圧較差が広がり、左心室内圧が高くなってきます。ドップラー法を使用すれば、圧較差を測定することができ、重症度の判定を行うことができます。
    最近ではMRIで弁膜症の診断をする施設も増えてきました。MRIではエコーと同じように、血流や心臓の動きを見ることができます。心エコーでは限られた断面でしか、心臓を観察をすることができませんが、MRIでは任意の断面で観察することができます。ただし、検査に時間とコストがかかるのでどの症例にも行う検査ではありません。
    昔から行われているのはカテーテル検査です。カテーテルを使用して、心臓内部の圧力を測定し重症度を判定します。造影剤を左心室に入れると、心臓の動きがわかります。また、僧房弁に逆流があれば左心房まで造影されますので、逆流の程度もわかります。大動脈造影を行えば、大動脈弁閉鎖の重症度がわかります。心拍出量や、冠動脈造影も行います。ただし、最近は心エコーやMRIだけで重症度判定を行い、手術をする場合は冠動脈検査だけをする場合もあります。
    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/10

    月報 「聴診器」 2016/10/01
    急に涼しくなりましたね。過ごしやすくなってきましたが、感染症が増えてきています。早くもインフルエンザの患者さんを数人診ました。マイコプラズマ肺炎も、ちらほらいらっしゃいます。皆さんも用心してください。
    当院の看護師さんが「心臓リハビリテーション指導士」の資格を修得しました。合格率30%の難関を突破しての結果です。とても誇らしいことと思います。パチパチパチ。当院の心臓リハビリテーション施設もより充実したものになるだろうと期待しています。
    22 弁膜症2 ③大動脈弁疾患
    今回は大動脈弁の病気です。大動脈弁は左心室と大動脈の間にある弁です。左心室が収縮して血液を大動脈に送り出すときには大動脈弁は開きます。開いた大動脈弁を通って血液は大動脈に流れます。逆に、左心室が拡張している間は大動脈弁は閉まります。拡張期に血液は左心房から左心室に流れますが、大動脈から左心室に血液が逆流しないように大動脈弁は閉じる必要があります。大動脈弁は三枚の弁で構成されていて、閉じたときにはお尻のような形になり、弁尖がピッタリと合わさります。
    この大動脈弁が固くなり、あまり開かなくなることがあります。これを大動脈弁狭窄症と言います。大動脈弁の開きが悪く、血液の通り道が狭くなってしまいます。左心室が収縮しても血液が大動脈にスムーズに流れなくなってきます。心臓の出口が狭くなっていますので、左心室の中の圧力と、大動脈の圧力に差が出てきます。細いストローで息を吹くような感じです。すると、左心室に大きな負担がかかりますので、左心室の壁が厚くなってきます。狭窄がひどくなれば、左心室は疲れきってしまい心不全や、突然死をきたすこともあります。また、左心室の中より血圧は低くなりますので、ひどい場合には頭の血流が低下して失神をしたりもします。
    大動脈弁狭窄症の原因はいろいろあります。子供のころのリウマチ熱によるものや、高血圧なども原因となります。加齢は最も多い原因の一つで、高齢になるほどこの病気は増えてきます。軽症であれば、心臓の負担をとるような薬を使用します。重症であれば、手術をする必要があります。
    大動脈弁の閉じが悪くなる病気もあります。大動脈弁閉鎖不全症と言います。左心室が収縮して血液を大動脈に送っても、拡張期に大動脈弁が閉じないので、大動脈から左心室に血液が戻ってきてしまいます。たとえば、左心室が100mlの血液を送り出しても、50mlが逆流してしまうのです。左心室には、左心房から来る血液と、大動脈から逆流してくる血液が流入してきますので、左心室はどんどん大きくなってきます。沢山の血液を送り出さなければならないので心臓はそのうち疲れてしまいます。大動脈弁閉鎖不全症も重症になれば、失神、心不全、突然死をきたします。
    大動脈弁閉鎖不全症の原因もいろいろあります。高血圧や、加齢も大きな原因です。そのほかにも、大動脈が進行性に拡張する病気(AAE)や動脈瘤、大動脈炎症候群、大動脈二尖弁なども大動脈弁疾患の原因となります。
    治療は、軽症では薬物療法を行い、重症であれば手術を行います。ただし、左心室の機能があまりにも悪くなると手術が難しくなるため、僧帽弁疾患より、やや早めに手術をする必要があります。手術は弁を取り替える、弁置換術が主流ですが、最近は可能であれば弁を修復する手術も多くなってきています。                    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/09

    月報 「聴診器」 2016/09/01

    今年の夏は本当に暑かったですね。2か月にわたり猛暑が続き、雨もほとんど降りませんでした。僕が子供とプールや海に行ったときには、熱中症で倒れていた方に何度か遭遇しました。当院にも多くの方が熱中症で来院されました。全国で救急搬送された熱中症患者は4万人におよんでいます。災害といっていいレベルだったと思います。残暑が厳しくないことを願うばかりです。引き続き、クーラーの使用をお勧めします。

    22 弁膜症2 ②僧房弁疾患

    前回は、弁膜症についてその概要をお話しました。心臓には、逆流を防ぐために弁が4つあります。それぞれの弁が不調になると弁膜症になります。今回は、左心房と左心室の間にある僧帽弁の病気について説明します。

    僧帽弁は、左心房が収縮して左心室に血液を送るときに弁が開いて血液が流れるようになります。次に、左心室が収縮して血液を大動脈に送るときに、僧帽弁は閉じて血液が左心房に逆流するのを防ぎます。いろいろな原因で僧房弁が固くなってくると、僧帽弁の開放が悪くなります。左心房が収縮しても僧房弁が十分に開放しないと、「僧帽弁狭窄症」という病気になります。

    僧帽弁狭窄症になると左心房から左心室へ血液がスムーズに流れず、左心房の圧力が高くなってきます。左心房の圧力が上がってくると、左心房が腫れてきます。左心房の腫れがひどくなると、肺もはれてきて息苦しくなります。これはうっ血性心不全の状態です。また、左心房に負担がかかると、不整脈がよく出るようになります。僧帽弁狭窄症に合併する不整脈の代表は心房細動です。心房細動では左心房内に血栓を作り、その血栓が飛んで脳の血管に詰まると脳梗塞を起こします。僧帽弁狭窄症では左心房が大きくなっているため、血栓がよりできやすくなります。軽症の僧帽弁狭窄症では、内服薬で心不全や不整脈、血栓症のコントロールを行いますが、重症例では手術が必要になってきます。手術は、心臓を切り開いて弁を修復したり、人工弁に取り替えたりします。

    逆に僧帽弁の閉じ方が悪くなってしまう病気もあります。僧帽弁閉鎖不全症です。僧帽弁閉鎖不全症では左心房から左心室に血液が流れるときには、ちゃんと弁が開きますが、左心室が収縮して血液を大動脈に送り出すときには、血液が左心房に逆流してしまいます。左心室が収縮するときには、強い力がかかり、左心室内は高圧になります。本来ならば、僧帽弁がこの圧力に負けないように、きちんと閉じて血液の逆流を防いでいます。しかし、僧帽弁閉鎖不全症では僧帽弁がきちんと閉じないため、圧力の高い左心室から圧力の低い左心房に血液が逆流してしまうのです。逆流量が多ければ、やはり、左心房に負担がかかり、左心房が拡大します。また、結果的に左心房から左心室へ行く血液も多くなりますので左心室も拡大していきます。重症例では左心室の収縮も悪くなります。左心房への逆流量が多ければ、肺の血管までむくんできます。腱索断裂、感染症や弁のずれなどが僧帽弁閉鎖不全症の原因となってきます。ただし、軽症の僧帽弁閉鎖不全症は非常に多く認めます。エコーをすれば10人中5人ぐらいは軽度の僧帽弁閉鎖不全症が見つかりますが、軽症僧房弁閉鎖不全症の病的意義はありません。中等症で、心不全や不整脈があれば薬物治療を行います。重症になれば、弁置換術や弁形成術が必要になります。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/08

    月報 「聴診器」 2016/08/01

    急に暑くなったためか、熱中症が増えています。原稿を書いている時点では夜はまだ涼しいのですが、今後はさらに暑くなるでしょう。熱中症予防のために水分摂取はよく言われています。時々、びっくりするのはクーラーをかけない方が意外と多いことです。クーラーが体に悪いとか、電気代がかかるなどの理由で我慢している方もいるようです。高齢になってくると熱さに鈍感になってしまい、クーラーをかけないこともあるようです。中には、クーラーがない、配管用の穴がないのでクーラーをつけられないと話してくれる方もいらっしゃいました。

    熱中症のため毎年1000人前後の方が亡くなっています。予報では今年は最も暑い夏になるそうです。クーラーは非常に効果的な熱中症対策になりますので、是非、有効な使用を勧めます。

    22 弁膜症2 ①心臓の弁

    今回からは、弁膜症の話です。弁膜症も、狭心症や心筋梗塞と同じぐらいよくある病気ですが、全く問題の無いものからすぐに手術が必要なものまで、重症度がさまざまです。

    心臓は筋肉で出来た袋のような構造になっています。この袋が、収縮をしてポンプのように血液を送り出しています。心臓には部屋が4つあり、それぞれ右心房、右心室、左心房、左心室と呼ばれています。血液は、静脈から心臓に帰ってきます。静脈血はまず、右心房に入り次に右心室に送られます。右心室からは肺動脈が出ており、血液はここを通って肺に行きます。血液は肺で酸素を十分取り込み動脈血となります。酸素を取り込み、動脈血となった血液は左心房に入り込み、次いで左心室に送られます。左心室からは大動脈が出ており、ここから全身に血液が送られます。

    血液はこの経路を一定方向に流れています。そのため、心臓には弁がついており血液が逆流しないようになっています。心臓には4つ弁があり、右心房と右心室の間には三尖弁があり、右心室と肺動脈の間には肺動脈弁があり、左心房と左心室の間には僧房弁があり、左心室と大動脈の間には大動脈弁があります。たとえば、僧房弁では、左心房が収縮して左心室に血液を送るときは、弁が開いて血液が流れるようにします。次に、左心室が収縮して血液を大動脈に送ります。このとき、僧房弁が閉じて血液が左心房に逆流するのを防ぎます。このように、心臓は4つの弁がきちんと開いて、きちんと閉じることで効率よく動いているのです。しかし、この弁が何らかの原因で、しまりが悪くなったり、開かなくなったりすると、心臓が効率よく動かなくなり、ひどい場合には心不全を起こします。弁膜症は軽症の場合は、経過観察で十分ですが、中等症以上になれば薬で心臓の負担を軽くする必要があります。重症の場合には手術が必要となります。

     

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/07

    月報 「聴診器」 2016/07/01

    最近、薬の安全性について質問を受けることが多くなってきました。自分が受ける医療について関心を持つのは大変良いことだと思います。ただし、今回は週刊誌による「反医療キャンペーン」による不安がきっかけのようです。確かに、薬は100%安全ではありません。副作用は100分の1程度起こります。重大なものに限れば1000分の1以下です。逆に言えば、ほとんどの人に副作用は出ません。しかし、雑誌ではすべての人に副作用が出るような論調で不安を煽っているようです。これは、間違った行為です。

    雑誌で糾弾されている薬の中には、数千万人の心筋梗塞の発症を抑え、命を救った薬があります。今回の件で、多くの人が薬を自己中止し、寿命を縮めるのではないかと危惧しています。

    21 心筋梗塞2 ⑥退院、通院

    心筋梗塞で入院し、緊急カテーテル治療、CCUでの急性期を乗り切れば、一般病棟に移動します。一般病棟ではモニターもはずれ、徐々に行動制限が解除されます。食事も普通食に移行しています。ただし、心筋梗塞発症前の食事に戻るわけではありません。塩分やカロリー、脂質を制限された食事が提供されます。心筋梗塞発症後は心不全のリスクが高いので塩分制限が必要です。また、高脂血症などを合併していることが多く、脂質やカロリーの制限も必要になってきます。数日おきに採血検査や心電図検査を行い、経過が順調かどうかを見ていきます。リハビリテーションも開始します。最初は歩行からはじめ、徐々に負荷を増やしていきます。病棟ではもちろん禁煙です。病状によりますが、だいたい2週間程度で退院になります。

    退院後は通院を続けます。継続的に薬を飲む必要があり、定期的に検査もしなければなりません。薬は、心筋梗塞の再発を予防する薬、心不全を治療する薬、合併症の治療薬などが投与されます。抗血小板薬は、動脈硬化を起こした血管に血栓ができるのを予防する効果があります。皮下出血や、胃が荒れることがありますが、心筋梗塞再発予防効果があります。また、急性期の治療で冠動脈にステントを入れた場合は、ステントに血栓がつきやすいので、抗血小板薬は必ず飲まなければなりません。コレステロールを下げる薬は動脈硬化の進行そのものを抑制します。再発予防のためにはLDLコレステロールは100以下を目指します。血圧のコントロールも大切なので、降圧薬も投与します。心機能が低下した症例では、心臓を保護する作用があるような降圧薬を選びます。糖尿病があれば、その治療も行います。大切なのは生活習慣を変えることです。退院して当初はきちんとした生活をしていた人も、のど元過ぎれば熱さを忘れるのでしょうか、以前のような不健康な生活に戻ってしまう人が少なくありません。過食、運動不足、喫煙、過度の飲酒は自ら心筋梗塞再発のリスクを上げ、命を縮める行為です。タバコは絶対にやめなければなりません。運動療法も大切です。通院先に施設があれば、心臓リハビリテーションを行ったほうが良いでしょう。

    数か月外来で通院したら、もう一度、冠動脈造影を行います。ステント治療した部位の確認、他の動脈硬化病変の進行具合の確認を行います。再狭窄や新規病変があれば再度治療を行います。

    心筋梗塞になっても無事退院し、日常生活をとり戻せたことは素晴らしことです。しかし、見えないところに病変は存在したままであり、動脈硬化は進行するものです。一生、付き合う必要があると思ってください。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/06

    月報 「聴診器」 2016/06/01

    熊本では地震が続いていますが、少しずつ日常生活が戻ってきているようです。ただし、「衣食住」の「住」が損なわれ、生活再建の見通しが立てられない方も多いようです。

    現地で奮闘された先生方の話を聞くと、その場の判断で動かざるを得なかったことが多かったそうです。刻々と変わる状況に対して、手探りで方針を立てながら対応したそうです。納得したのは、「想定外のことは必ず起こる」との言葉でした。いろいろな状況を考えておくことは大切ですが、想定外が起きたときの判断に生かせるように、地域の情報を知っておくことが大切だと思いました。

    21 心筋梗塞2 ⑤CCU

    心筋梗塞は原則的には入院加療を行います。診断がつけばほとんどの症例でカテーテル検査が行われ、可能であれば冠動脈形成術を行い、血行動態が不安定であれば補助人工心肺を使用します。

    その後はCCUに入院します。CCUはCoronary Care Unitの略で心疾患専用の集中治療室です。心筋梗塞の救命率を上げるため生まれたシステムです。多数のモニター、医療機器、人員が配置されています。急変時の処置が可能で、補助人工心肺の管理も可能です。看護師と医師が常駐しており、不測の事態にはすぐに対応できるようになっています。もっとも活躍するのは直流除細動器でしょう。テレビドラマで、倒れた患者さんにイケメンドクターが「電気ショックを!!」と叫んで使用しているあれですね。心筋梗塞の急性期には心室頻拍や心室細動などの致死性の不整脈が出現します。これは、そのまま処置をしなければ死亡につながります。不整脈が起きてすぐに直流除細動をかければ、ほぼ確実に救命することができます。これほど劇的に生と死を分ける手段もないと思います。心電図モニターで致死性不整脈が検出されれば、アラームがCCUに鳴り響きます。スタッフが不整脈を確認すれば、すぐに心臓マッサージが開始され、直流除細動器が準備されます。数分以内に除細動が行われ、患者さんは一命を取り留めます。致死的不整脈が頻回に起こる患者さんでは、麻酔薬を使用して眠ってもらい、胸には除細動器のパッチを貼ったままにして置くこともあります。

    ほかのモニターも厳重に見守られ、適切な対応が素早くおこわなれます。酸素化が悪ければ酸素を投与し、必要な検査を行います。それでも酸素化が悪い場合には、人工呼吸器の準備をします。血行動態が不安定な場合は、昇圧剤を使用したり、補助人工心肺の導入を検討します。急性期に冠動脈が再閉塞し、再度カテーテル検査を行う場合もあります。重症度の指標として、意外に重視されるのが尿量です。尿量が減れば循環動態に障害が起こっていることが想像されます。また、尿量が確保できなければ肺うっ血が引き起こされます。尿量減少時には利尿剤を投与しますが、十分に反応しない場合は人工透析を使用します。

    CCUでは指示どおりに安静にしてもらいます。心筋が壊死していますのでいきなり動くと、心不全をおこしたり、不整脈を起こします。時には心臓が破裂することもあります。このため、心筋梗塞発症当日はベッドで寝たきりで過ごしてもらいます。その後、数日かけて座位から立位、歩行と活動範囲を広げています。この時は、ワンランク活動性が上がるごとに自覚症状や血圧などをチェックする必要があります。例えば、座位になったとたんに急激に血圧が下がる場合や、歩くと胸が苦しくなるようならば、ステップアップは無理と判断されます。食事も最初は水分程度で、徐々に普通食に移行しています。もちろん、排泄も始めはベッド上です。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/05

    月報 「聴診器」 2016/05/01

    4月14日と16日に震度7の揺れが熊本を襲いました。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。僕も岳父達が熊本に在住しており家屋が一部損壊したとのことでした。16日に迎えに行くついでに、水や食料を避難所に持っていきました。熊本で医師をしている友人たちにも援助のことを聞きましたが、16日の時点では物資は不足しているものの医療スタッフはある程度足りているとのことでした。現地の医療スタッフが不眠不休で奮迅の働きを続けてくれたようです。加えて、素早くDMATが入ったことでマンパワーの確保ができたことも大きかったようです。日本医師会のJMATも素早く立ち上がり、17日には活動を開始しています。宗像地区からは水光会病院の吉武先生班が現地にむかわれています。数々の震災を経て国全体のシステムも少しずつ進歩しているようです。当院では支援金のほか、エコノミークラス症候群の予防のためのフットマッサージ器10台を避難所に寄贈しています。

    21 心筋梗塞2 ④心筋梗塞の検査-治療 補助循環

    心筋梗塞と診断がついて、カテーテル治療を行うと半分以上の症例では安定した経過が期待できます。しかし、ここまでしても心臓動きが非常にわるいと血行動態を維持できず危険な状態のままの症例もあります。こんな時は、心臓のポンプ機能を補助する装置を使用します。

    比較的よく使用されるのは大動脈内バルーンパンピング(IABP)です。これは20cm x 1.5cm程度の細長い風船を大動脈に入れて行うものです。風船はチューブで体外の機械につながっており、心臓の収縮に合わせて風船が膨らんだり、縮むようになっています。拡張期には大動脈弁が閉じますが、この時に合わせてIABPの風船が素早く膨らみます。すると拡張期の血圧が維持できるようになります。拡張期の血圧を維持することは、脳の血流や冠動脈の血流を確保するために重要なことです。心臓が収縮して大動脈に血液が送り出される時には、素早く風船が縮みます。このとき、陰圧がかかるので心臓が楽に血液を送り出すことができます。風船の膨張収縮は心電図に同期させて行います。ポッコンポッコンと音がしますが、ほかの補助循環装置に比べて簡便に装着できるのが利点です。ただし、大動脈瘤があったり、大動脈弁閉鎖不全症大きいとIABPは使用はできません。

    IABPを挿入しても血行動態が維持できないときには経皮的心肺補助装置(PCPS)を使用します。これはより本格的な装置で人工心肺に近いものです。大腿静脈と大腿動脈に太目のカテーテルを挿入します。静脈のカテーテルから血を抜き、脱血管からポンプ部に送られます。血液はポンプ部から人工肺に送られます。人工肺は細い中空のガラス管の集まりです。ここまで血液は空気から酸素を取り入れます。ここまでは黒い静脈血でしたが、ここから赤い動脈血になります。その後、送血管から動脈に血液が送られます。動脈には血液が逆行的に送られることになりますが、おかげで血圧が維持できるようになります。PCPSは非常に強力な手法ですが手技が煩雑で慣れてないと時間がかかってしまいます。ここをスムーズにできるのが一流病院と言っていいと思います。PCPSは原理上、心臓の収縮に対する負荷になりますので、心臓そのものの治療は別に行わなければなりません。また、足の血液を体外循環に回すので足の血行が悪くなるとがあります。出血や血栓症、感染症のリスクも上がります。スタッフがつきっきりで管理をする必要があります。それでも、PCPSはそのままでは亡くなってしまうような場合の切り札として使用されます。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/04

    月報 「聴診器」 2016/04/01

    今月で、心臓リハビリテーション施設UPが開設して一年がたちました。82名の患者さんにご利用いただきました。心不全、不整脈、心筋梗塞、大動脈瘤、弁置換術後など重症心疾患を有する方も多数参加していただきましたが、特に大きなトラブルもなく一年を乗り切ることができました。心臓リハビリテーションの効果は、ほぼすべての患者さんで得ることができました。特に、重症心不全の患者さんで効果が顕著だったようです。他の医療機関からも紹介していただきましたが、紹介元の医師もリハビリテーションの効果におどろかれていました。これも、支えていただいたみなさんのおかげはもちろんですが、スタッフの力によるものが大きかったと思います。

    当院のスタッフはみな勉強熱心で、やさしく、誠実な人ばかりです。皆が献身的に仕事をしてくれたおかげで、心臓リハビリテーションの成功があったと思います。素晴らしいメンバーと一緒に仕事ができることに、日々感謝をしています。

    21 心筋梗塞2 ③心筋梗塞の検査-治療 カテーテル検査

    心電図や心エコーなどで心筋梗塞と診断されれば、カテーテル検査を行います。カテーテル検査は細い管を血管内に入れて行う検査です。細い穴から造影剤を入れたり、圧力を測定したりします。急性心筋梗塞ではスワン・ガンツカテーテルというものをよく使用します。これは、静脈から挿入して、肺の血圧を測定したり、心拍出量を測定するときに使用します。重症例では血行動態を把握するために2-3日入れっぱなしの時もあります。冠動脈造影も行います。カテーテルの先端から造影剤を冠動脈に流して、レントゲンで動画を撮影する方法です。狭心症の時にも説明しましたね。心筋梗塞の時は冠動脈がつまっていますのでより慎重に行う必要があります。冠動脈入口に病変がある可能性もありますので、初めは大動脈内で造影剤を流して入口部を確認します。異常がなければ、左右の冠動脈にカテーテルを挿入して、造影剤を流し、多方向から撮影します。そこで、閉塞している血管がわかります。

    昔は、この段階でいったん検査を終了することもありましたが、最近ではほとんどの症例でそのまま治療に移行します。まず、カテーテルを少し太めのものに交換します。閉塞部位を有する血管にカテーテルの先を入れたら、細いワイヤーで閉塞部をつつきます。多くの場合は、閉塞したばかりで、閉塞の本体は血栓だったりやわらかいプラークだったりします。細いワイヤーでつつきますと閉塞部位を通過させることができます。閉塞部をワイヤーが通過しても病変部には高度狭窄が残ったままなのでこの部位を3-4mmの風船で広げます。術者は風船をしぼませた状態で病変部に運びます。そこで高圧をかけて風船を膨らまします。風船が広がれば、病変も広がってくれます。最近ではそのままステントいう金属製の網を入れることが、主流になっています。ステントは細く折りたためるようになっており、折りたたんだ状態で縮めた風船に装着されています。これを先ほどと同じように病変部に持っていきます。風船を拡げた後に、再び縮めて風船だけ抜くと、血管を広げるような形でステントが残るようになります。

    閉塞部の血栓があまりにも多い場合は、血栓吸引や血栓溶解剤を使用することもあります。また、病変部が複雑であったり、入口部にあまりに近い場合は風船治療は行わず、緊急バイパス手術をするときもあります。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2016/03

    月報 「聴診器」 2016/03/01

    先日、電気会社の方が訪問されました。電気料金の契約を変更したら電気代が安くなるとの話でした。九電からの依頼で訪問しているそうです。この会社の特殊な機器をつけると、リース代も含め今よりお得になるとのことで、すぐに契約書を書いてハンコを押すように言われました。感じの良い青年が丁寧に説明してくれました。すぐにハンコを押すのは抵抗があったので、妻に相談すると「怪しいから調べたほうがいいよ」と言われました。確かに、調べると九電とは全く関係ない会社で、古典的な詐欺の手口らしいです。恥ずかしながら、あまり疑っていませんでした。

    詐欺にはいろんな手口がありますね。親切そうな顔をしてうまい話をしてくるときは警戒しないとだめですね。

    21 心筋梗塞2 ②心筋梗塞の検査

    激しい胸の痛みや失神があれば心筋梗塞を疑って検査をします。心電図は必ず行う検査です。典型的には心筋梗塞を発症すると「ST変化」という所見を認めます。心電図は心房波と心室波で構成されます。波形にはそれぞれ名前が付けられています。心室波はQRSというスパイク状の部分とその後のST部分があります。心筋梗塞を発症するとまずはこのST部分で変化を認めます。多くの症例ではSTが上昇しますが、病変部によってはSTが低下することもあります。ST変化の誘導を見ると心臓のどの部分で心筋梗塞が起きているかをある程度推測することもできます。Q波を認めることもあります。これは心筋梗塞を発症して時間がたつと出てくる異常波形です。例えば心筋梗塞を発症して数日たって来院された場合はQ波を認めます。以前に心筋梗塞を起こした方が、再度心筋梗塞を発症した場合でもQ波を認めることがあります。不整脈の合併も心電図でチェックをします。心筋梗塞を起こすと心筋が不安定になり不整脈が出やすくなります。心室頻拍症など致死性不整脈が出ることも珍しくありません。下壁心筋梗塞では房室ブロックという、脈が異常に遅くなる不整脈が出ることもあります。

    胸部レントゲン写真では心筋梗塞特有の変化はありません。ただし、心不全の合併のチェックをする必要があるので必ず行う検査です。また、同じように激しい胸痛を伴う疾患、例えば大動脈瘤や気胸を除外する意味でも必要な検査です。

    心エコーでは、心筋梗塞を起こした部位の収縮低下を認めます。動かない部位の広さや合併症をチェックします。動かない部位が大きいと血流が滞り、左心室内に血栓ができることがあります。心筋梗塞の範囲が乳頭筋に及べば、重度の僧房弁閉鎖不全症を合併することがあります。心筋梗塞を起こすと心筋が非常に柔らかくなってしまいます。外側の心筋が崩れて穴が開けば心破裂を起こします。左心室と右心室の間の心筋が破ければ、心室中隔穿孔となります。心エコーでカラードップラーを使用するとこうした合併症がわかります。

    採血検査も行います。GOT GPT LDH CPKなどの心筋逸脱酵素が高値になります。これらの酵素は本来心筋内にあるのですが、心筋梗塞を起こすと心筋が溶けて、血中に出てくるのです。急性期には心筋トロポニンTという酵素が上昇しますので、これをスクリーニングに使用しています。また、肺塞栓や大動脈瘤などの、やはり激しい胸痛を伴う致命的な病気のチェックのために、D-ダイマーという血栓のマーカーも測定します。

    上野循環器科・内科医院 上野一弘

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