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  • 月報 「聴診器」 2008/ 2

    月報 「聴診器」 2008/ 2/ 1

     

    寒い日が続きますね。そろそろインフルエンザが流行ってきそうですね。年末から引き続き感染性腸炎(俗に言う「嘔吐下痢」)もはやっているようです。お腹の調子が悪いかな?と思ったらお腹に優しい食事をするようにしてください。

     

    8 高血圧⑫ 高血圧の検査

    高血圧症の合併症の一つに動脈硬化があります。血管は血液を送る管で、水道管のように全身にくまなく広がっています。血管の壁にコレステロールなどが積もってくると、血管が硬くなったり、もろくなったりします。また、血管の壁が肥厚してきますので血管が詰まったりもします。動脈硬化が心臓の栄養血管(冠動脈)で起これば狭心症や心筋梗塞を起こします。脳の血管に動脈硬化が起これば、脳梗塞や脳血管性認知症を起こします。大動脈に動脈硬化が進むと動脈が腫れたり裂けたりする、大動脈瘤となります。この動脈硬化の進行は一方通行で、動脈硬化が進めば二度と正常な血管には戻りません。ただし、動脈硬化は特定の人に起こるわけではなく、人類すべてに起こります。いわば、血管の老化現象です。年とともに動脈硬化は進みますが、その進むスピードが人によって異なります。30代で血管がボロボロになっている人もいれば、90歳でも比較的若々しい血管を保っている人がいます。動脈硬化を進ませる要因には喫煙、糖尿病、コレステロール、遺伝などがありますが、高血圧も重要な要素の一つです。

    動脈硬化の検査としては当院では二つの検査を行っています。一つは脈波測定です。手足の血圧と心電図を同時に測定することで、血管の硬さと血管のつまり具合を見ることが出来ます。血管の硬さはCAVIという指標であらわされます。一般に9以上で「硬い」と表現しますが、年齢との比較が大切です。血管の詰まり具合はABIという指標であらわされます。これは「足の血圧」割る「手の血圧」で求められます。普通は足の血圧のほうが手の血圧より高いので、ABIは1を超えます。しかし、下半身の血管が狭くなると足の血圧が低下し、ABIが下がります。ABIが0.8以下では下半身の血管が狭いと考えます。

    もう一つは、頸部血管エコーです。超音波を使って、首の血管を画像で見る検査です。血管そのものを見ながら、血管の壁の厚さを測ります。0.8mm以上あれば、動脈硬化が進んでいると考えます。時々、血管の壁が小さな山のように盛り上がっていることもあります。これは、プラークと呼ばれ、動脈硬化がかなり進んだ結果です。プラークは繊維や白血球の死骸、脂質などで出来ています。油分の多いプラークは破れやすく、破れるとそこで血液が固まって脳梗塞の原因となります。プラークのある症例では、厳格に血圧やコレステロールを下げる必要があります。あまりにプラークが大きすぎて、血管が詰まりそうな場合には、脳外科で手術をする場合もあります。

     

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2008/ 1

    月報 「聴診器」 2008/ 1/ 1

     

    明けましておめでとうございます。暮れから急に冷え込んできましたね。おかげで、休み中は風邪をひいていました。皆様はどんな年明けだったでしょうか。楽しい一年だったらよいですね。

     

    8 高血圧⑪ 高血圧の検査

    今回からは高血圧患者様を診るときに行う検査について説明していきます。高血圧症に対する検査は大きく二つに分けられます。高血圧の原因に対する検査と、高血圧の結果に対する検査です。日本では高血圧症のうち8割以上が本態性高血圧症という、いわば体質的な高血圧ですが、1割程度二次性高血圧症がいるといわれています。これは、腫瘍や血管病変によって高血圧になるような病態です。このような二次性高血圧症は一般的な検査ではなかなか見つからないために、血圧を上げるホルモンを測定したり、血管の検査を行ったりします。これらについては、別項で説明するようにします。

    高血圧が命を縮めるのはその合併症のためです。合併症がどの程度、どの臓器あるかによって治療の必要性や目標も変わってきます。胸部レントゲン写真では心臓の大きさと、大動脈の影を見ます。高血圧が長く続いて心臓に負担がかかっていれば心臓が大きくなっていることがあります。大動脈の動脈硬化がひどければ動脈の壁が石のようにかたくなってレントゲンに写るようになります。また、動脈が曲がったり、膨らんだりしているが分かる場合もあります。心電図もやはり心臓の負担を見ますが、心臓での電気のとおり方を調べます。心臓が弱っていれば、心臓での電気のとおり方が変化したり、不整脈が出現したりします。胸部レントゲン写真や心電図で異常が見られたり、聴診で心雑音が聞かれる場合には心エコーを行います。心エコーでは心臓の壁の厚さ、心臓の動きや硬さを見ます。弁膜症が見つかる場合もあります。検尿では主に蛋白尿をチェックします。高血圧によって腎臓が悪くなると、尿に蛋白質がもれ出てきます。蛋白尿が認められれば、すでに高度の腎障害があるはずなのでなるべく早めに厳格な降圧が必要になってきます。採血検査では腎機能障害を中心に見ていますが、肝機能や電解質(イオンのバランス)もチェックが必要です。肝機能障害がひどければ、使う薬に制約がでてきます。降圧薬によってはカリウム値が高くなるものもあるので、カリウム値が高めの症例では使用を控えるようにしています。また、異常にカリウム値が低い例では二次性高血圧症の可能性があるので精査を行うようにしています。脂質異常症や糖尿病など、ほかの動脈硬化促進因子のチェックも大切です。

    以上は一般的行う検査です。これらの検査で合併症が見つかれば早期に治療が必要となります。合併症の多くは動脈硬化に由来するものです。動脈硬化そのものを調べる検査も行います。これは、少し長くなるので来月にお話します。

     

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2007/12

    月報 「聴診器」 2007/12/1

     

    もう12月。一年はあっという間ですね。でも振り返ってみれば、いろいろなことがありました。来年はどんな一年になるでしょうか。

     

    8 高血圧⑩ 高血圧の薬物治療 中枢神経抑制薬 利尿薬

    今回で降圧薬の説明は最終回です。これまで、カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬、βブロッカー、αブロッカーについて説明してきました。今回は中枢神経抑制薬と利尿薬について説明します。

    前回は交換神経をブロックする薬を紹介しましたが、これは主に末梢神経のレベルで働く薬です。中枢神経抑制薬は神経の働くおおもと、つまり脳みそに作用することで血圧を下げる薬です。作用の仕方は、交感神経の受容体をふさいで神経の命令が伝わるのを邪魔したり、偽者の物質を紛れ込ませて交感神経の働きを弱めたりします。ワイテンスやアルドメットなどの薬がこの仲間に当たります。特徴はあまりなく降圧効果もそれほど強くないので、他の種類の降圧薬に比べて使われる機会があまりありません。ただしアルドメットは、胎児に悪影響が少ないので、妊娠中の高血圧には好んで使われたりします。

    利尿薬はかなり昔から使用されていた薬です。降圧薬の中では一番古い種類になります。高血圧の原因の一つに塩分過多の状態があります。体内の余分な水分と塩分は腎臓から尿として排泄されます。この時、まず腎臓は多量の尿(原尿)を作り途中で塩分と水分を再吸収するようにしています。利尿薬は、この再吸収を抑制することで塩分と水分の排泄量を増やします。特に、日本人のように塩分摂取が多いタイプには有効なことが多いようです。ラシックス、アルダクトン、フルイトランなどがこれにあたります。心不全のコントロールにも使用しています。しかし、尿酸値が高くなったり、糖尿病が悪化することが多いため、様々な降圧薬が開発されると使用が敬遠されるようになって来ました。

    ところが、最近再び利尿薬の使用量が増えてきました。きっかけは「ALLHAT」というアメリカでの研究結果でした。これは製薬会社の関与を出来るだけ排除した研究で、「どの降圧薬でいくつまで下げたらよいか」との疑問に答えるために行われたものです。それまでは、新開発の薬のほうが有利な結果が出るような研究が多かったのですが、ALLHATでは①血圧は低ければ低いほどよい、②降圧薬の種類は何でもいい、③利尿剤で悪いことはない、との結果が得られました。研究は背景や手法がそれぞれ異なるのでALLHATの結果がすべての症例に適応できるわけではありませんが、利尿薬はおおいに見直されることになりました。特に、アンギオテンシン受容体拮抗薬やアンギオテンシン変換酵素阻害薬で十分な降圧効果が得られない症例に対しては、非常に有効であるといわれています。

    僕も、なかなか血圧が下がらない方には利尿薬を処方していますが、副作用の出現をチェックするように努めています。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2007/11

    月報 「聴診器」 2007/11/1

     

    もう11月、晩秋ですね。それにしては、暖かい日が多いようにも思えます。今年は暖冬なんでしょうか。

     

    8 高血圧⑩ 高血圧の薬物治療 βブロッカーとαブロッカー

    降圧薬の説明が続きます。これまで、カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬について説明してきました。今回はβブロッカーとαブロッカーについて説明します。

    体には、血圧を調節するさまざまな仕組みがあります。前回登場したレニン・アンギオテンシン系もそのひとつです。そのほかに、自律神経でも血圧は調節されています。自立神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は活動時に優位になる神経です。交感神経が興奮すると、血圧が上がり、脈拍が速くなります。運動時は交感神経が興奮する代表的な状態です。逆に副交感神経は、血圧を下げ、脈拍を遅くさせます。睡眠時は副交感神経が優位となる代表的な状態です。交感神経と副交感神経はシーソーのように調節しながら、周期的にバランスを変えています。通常は、朝、目がさめると交感神経が優位になり始め、日中の活動時には交感神経優位な状態が続きます。夜になり就寝すると交感神経の活動が下がり、副交感神経が優位となります。交感神経は運動以外にも、感情的興奮やストレスなどでも活性化されます。副交感神経は腸管刺激や過緊張などでも優位になります。一般に高血圧症では交感神経が優位な状態となっています。この交感神経をブロックする薬がβブロッカーとαブロッカーです。

    交感神経にはα作用とβ作用があります。α作用は主に血管に働き、血管を収縮することで血圧を上昇させます。β作用は主に心臓に作用して心拍を早くしたり、心臓の収縮を強くしたりします。また、β作用は腎臓に働いて、レニン・アンギオテンシン系を刺激して血圧を上げる作用もあります。

    αブロッカーはα作用を阻害することで血管を広げ血圧を下げる薬です。早朝高血圧を伴う症例などに有効といわれています。カルデナリンやデタントールなどがこれにあたります。大きな副作用はありませんが、立ちくらみが出やすいのが特徴です。起立時には交感神経のα作用で血管が収縮し頭に血液を上げるような仕組みになっていますが、これを薬が阻害するためです。

    βブロッカーはβ作用を阻害することで血圧を下げる薬です。心拍数が早めの症例などに有効です。また心不全の治療効果もあります。アーチストやメインテートがこれにあたります。脈拍が遅くなったり、喘息がでたりすることがあるので、使用に注意を要する薬でもあります。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2007/10

    月報 「聴診器」 2007/10/1

     

    空も高くなり、朝夕はずいぶん涼しくなってきました。過ごしやすくなってきましたが、その分、食べすぎで体重が増えたり、血糖値が上がったりする方が多いようです。気持ちは良くわかりますが、お互い気をつけましょう。

     

    8 高血圧⑨ 高血圧の薬物治療 アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬

    前回は降圧薬の大まかな分類とカルシウム拮抗薬について説明しました。今回はアンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬について説明します。ちょっと、名前が長いので、アンギオテンシン変換酵素阻害薬を「ACE阻害薬」、アンギオテンシン受容体拮抗薬を「ARB」と表記します。

    血圧は様々なホルモンでコントロールされています。そのうち、代表的なもののひとつがレニン・アンギオテンシン系です。レニンは主に腎臓で作られるホルモンです。これが、アンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンIに変えます。次にアンギオテンシン変換酵素(ACE)がアンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変えます。アンギオテンシンIIは直接血管を収縮させて血圧を上げますが、腎臓の細胞に働きアルドステロンというホルモンを増やします。アルドステロンは、腎臓での塩分と水分の再吸収を増加させ血圧を上げます。また、アンギオテンシンIIとアルドステロンは直接心臓や腎臓に作用し、臓器を障害します。

    ACE阻害薬はこのレニン・アンギオテンシン系を阻害する薬です。レニベースやタナトリルなどの商品名がこれにあたります。ACE阻害薬はアンギオテンシンIがアンギオテンシンIIになるのを抑え、血中のアンギオテンシンIIを減少させ血圧が下げます。また、アンギオテンシンIIやアルドステロンの臓器障害作用を邪魔することで、臓器を保護する作用も持っています。高血圧や弁膜症で心臓の機能が衰えると心不全を発症します。心不全は予後不良の疾患の一つですが、このACE阻害薬は心不全の人の寿命を延ばすことが知られています。また、腎臓内の血圧を下げる作用が強いため、腎不全の予後改善効果も期待されています。したがって、心機能が低下している症例や高血圧性腎臓病がある場合には積極的に投与を検討します。ただし、血中カリウムが上昇したり、咳が出るなどの副作用があります。特に咳は良く見る副作用で、この薬の最大の問題です。

    ARBもやはりレニン・アンギオテンシン系を阻害する薬です。ブロプレス、ニューロタン、ミカルディスなどがこれにあたります。ARBはアンギオテンシンIIが作用するのをブロックする薬です。アンギオテンシンIIの濃度自体は変わりませんが、アンギオテンシンIIが血管や腎臓に作用するのを邪魔しますので血圧が下がります。ACE阻害薬と同様に、臓器保護作用がありますので心不全や腎不全の予後改善効果が期待できます。やはりカリウムが上昇するなどの副作用がありますが、咳の副作用はほとんどでないため、大変使いやすい薬となっています。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2007/9

    月報 「聴診器」 2007/9/1

     

    今年の夏は暑かったですね。遅い梅雨明けで、涼しい夏を予想していましたが期待はずれだったようです。年々、夏の暑さが厳しくなっている気がします。将来が心配ですね。

     

    8 高血圧⑧ 高血圧の薬物治療 カルシウム拮抗薬

    高血圧に対して薬物療法を行う場合、降圧薬を使用します。現在では様々な種類の降圧薬が開発されており、病態にあわせた薬を選択することが出来ます。沢山の降圧薬は作用の仕方によって7種類ほどに分類されます。カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬、利尿剤、ベータブロッカー、アルファブロッカー、中枢性降圧薬などです。それぞれのグループ内でも更に種類が分かれていきますが、薬の特徴や副作用は非常に似通っています。これはお酒の分類方法と似ています。アルコール飲料という大きな分類があって、その中にビール、ウイスキー、日本酒、焼酎などの大きな分類がありますが、更にその中に沢山の種類のお酒があります。キリンラガーもアサヒドライも多少の味の差はありますが同じビールの仲間ですから、日本酒やウイスキーほどの差はありません。薬も同じグループの薬は同じような作用をしますので、グループごとに特徴を説明していきます。

    日本で一番良く使われている降圧薬はカルシウム拮抗薬というグループです。商品名ではノルバスク、アダラート、コニール、カルブロックなどがこれに当たります。血圧は全身の血管抵抗と循環血漿量によって決まりますが、カルシウム拮抗薬は血管抵抗を下げて血圧を下げる薬です。血管は血液を流す管ですがただの管ではありません。血管の壁には平滑筋とういう筋肉が入っていますが、平滑筋を収縮させて血管を縮めたり、平滑筋を緩めて血管を拡げたりします。平滑筋が緩んで血管が広がると、血管抵抗が減って血圧が下がります。カルシム拮抗薬は平滑筋にカルシウムイオンが入るのを阻害することで、平滑筋を緩め、血管抵抗を減らし、血圧を下げます。

    カルシム拮抗薬の特徴は、有効性に優れている点です。降圧効果がでるまでの時間が短く、どの人にもまんべんなく効果が期待できます。また、心臓の血管(冠動脈)にたいしても血管拡張作用を持っていますので、狭心症にも効果が期待できます。昔のカルシム拮抗薬は、作用時間が短いのが難点でした。急激に血圧が下がるため、動悸が出ることがありました。しかし、最近のカルシウム拮抗薬はゆっくり長く効くように改善されおり、大変使用しやすくなっています。確実に下げたい例や、狭心症を合併している例に対してよく使用されます。

    ただし、歯ぐきや足がむくんだり、頭痛がするなどの副作用もあります。血管拡張作用が強いため顔がほてることもあります。ほとんどの人には副作用はでませんが、こうした症状がある場合は薬を別のグループの薬に変更します。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2007/8

    月報 「聴診器」 2007/8/1

     

    やっと夏ですね。この時期には、急に暑くなったために脱水を起こす人が増えてきます。水分はこまめに、多めにとりましょう。

     

    8 高血圧⑦ 高血圧の薬物治療

    前回は高血圧治療の話をしました。治療目標は135/80mmHg以下。治療の基本は食事療法で、つまりは減塩です。減塩だけでは十分に下がらない場合や、どうしても食事療法が出来ない場合には薬物療法を行います。降圧薬の投与です。降圧薬の使用で血管や臓器の負担が減り、動脈硬化や臓器障害の進行を防げます。

    ただし、降圧薬については様々な誤解があるようです。「飲み始めたら、一生飲み続けなければいけないでしょう?」とよく聞かれます。これは、半分正しく半分間違えです。確かに、薬の中には「飲み始めたら、一生飲み続けなければならない薬」もあります。たとえば、ある種の肝炎の薬がそうです。これは、薬を途中でやめると急激に肝炎が増悪するためです。投薬前よりも肝炎が悪化するのです。降圧薬を中止した場合も血圧が上がりますが、投薬前の血圧に戻るだけで投薬前よりも上がることはありません。もとに戻るだけです。また、短い期間でも血圧を下げておくほうが、血管が痛まず臓器障害も進みません。高血圧がある場合、①ずっと降圧薬を飲む、②一定期間だけ降圧薬を飲む、③降圧薬を飲まないで高血圧を放置する、の順に予後が改善されます。簡単にいえば、降圧薬を長く飲めば飲むだけ寿命が延びるのです。

    血圧と降圧薬の関係は、日光と日傘の関係に例えられます。日光にあたれば、日焼けをしたり「しみ」が出来たりしますよね。日光は肌の老化を進めるからです。このため、ご婦人は日傘をさしお肌の若さを保とうとします。しかし、日傘をたたむとまた日が差してお肌を焼きます。出来るだけ日傘を長くさしている方が、肌が日光にさらされず白い肌を保てます。日光は高血圧、日傘は降圧薬、日焼けは動脈硬化にあたります。降圧薬を使ってできるだけ血圧を下げたほうが、血管の老化が防げるわけです。

    副作用を気にされるかたも多いと思います。確かに、降圧薬による副作用はゼロではありません。しかし、その確率はかなり低く高血圧を放置することによる危険性よりはるかに低いのが事実です。また、ある薬で副作用がでても別の薬を使えば副作用がでないこともあります。降圧薬の種類は沢山ありますので、きっと副作用がなく効果的な薬が見つかるはずです。

    もちろん、生活習慣の改善などで血圧が下がり降圧薬を中止できる場合もあります。降圧薬を飲むことはそんなに悪いことではありませんが、できるだけ薬を飲みたくないという気持ちもわかります。生活習慣の改善が徹底できれば、薬を減したり薬を中止したりすることは可能です。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2007/7

    月報 「聴診器」 2007/7/1

     

    梅雨になりました。6月はカラ梅雨でしたが、7月は本格的な雨が続きそうです。とりあえず、水不足は回避できそうですが、今度は水害が心配ですね。

     

    8 高血圧⑥ 高血圧の治療

    前回までは、心臓、腎臓、脳と高血圧の関係について説明してきました。恐ろしいのは、どの臓器障害も一方通行なことです。人間の臓器の多くは再生しません。いったん臓器に障害が起これば、その障害自体は元に戻ることはありません。脳梗塞が起これば、死んだ脳細胞は二度と戻ってきません。残った脳細胞でいかに機能を補うかが治療の目的となります。一度、心筋梗塞がおこれば死んだ心筋細胞は戻ってきません。いかに死滅する心筋細胞を少なくするか、いかに致死的合併症を防ぐか、いかに残った心筋を長持ちさせるかが治療の目的となります。腎機能が低下すれば、あとは機能が低下する一方です。行き着く先は、人工透析になります。治療は透析導入までの時間を遅らせることにあります。つまり、臓器障害が起きてからの治療は限定されたものでしかありません。逆に言えば、臓器障害を防ぐことが非常に大切なのです。

    臓器障害を防ぐためには、血圧を下げることが一番です。では、どこまで下げたらいいんでしょうか。この降圧目標値は年々下がる傾向にあります。JSH 2004という日本の高血圧の最新ガイドラインでは135/80mHg以下を目標値としています。ただし、糖尿病を合併している場合では130/80mmHg以下が目標と更に厳しくなります。アメリカのガイドラインであるJNC7でも120-130mmHg が目標値となっています、ヨーロッパでも似たようなものです。これは様々な研究で、血圧がより低いほうが、長生きすることが確認されたためです。至適血圧は120/80mmHg以下とも言われています。逆に下がりすぎて悪いことは、あまりありません。あまりに血圧が下がりすぎると脳や腎臓の血流が低下し、ふらふらしたりします。ただし、その影響は一時的なもので、再び血圧が上がれば症状も軽快します、後遺症を残すようなことはほとんどありません。

    治療の基本は、減塩になります。日本人の一日平均塩分摂取量は10-12g程度ですが、ガイドラインでは一日塩分摂取量は6gを目指すようにいわれています。一日塩分が6gというのはかなり薄味です。ぼくも、何回か味見をしてみましたが、ほとんど塩味がしません。正直にいうと、おいしくありません。しかし、塩分は出来るだけ減らしたほうがいいのは事実です。そもそも、高血圧の人の中には異常に多量の塩分を摂取している人が多いようです。「お漬物を食べるときに醤油をかける」「うどんやラーメンの汁は全部飲む」「外食メニューにもさらに醤油をかける」「さしみを食べるとき、両面に醤油をつける」などの食生活をしている方は、かなり塩分過多です。これらのことをやめるだけでも、血圧は下がるはずです。なお、唐辛子やコショウ、わさびなどの香辛料は血圧に関係ありません。香辛料を多めにつかって、塩や醤油を控えるのも効果があります。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2007/6

    月報 「聴診器」 2007/6/1

     

    先日、沖ノ島参拝に随行医師として行ってきました。沖ノ島は島そのものがご神体で、女人禁制の島として知られています。一般人も通常は立ち入り禁止ですが、毎年5月27日だけ参拝が許されています。島は古木にあふれ、儀式は簡素ながらも荘厳なものでした。

     

    8 高血圧⑤ 高血圧と脳

    今回は、高血圧と脳疾患について説明します。脳疾患の中でも、脳卒中つまり脳血管障害は血圧と密接な関係があります。脳卒中の一番の原因は高血圧なのです。以前、脳卒中は日本人の死因の一位でした。癌や心筋梗塞よりもはるかに大きな問題だったんですね。これは、東アジアに特有の現象で、欧米とは大きく異なる点でした。この原因が、高血圧にあると考えられ、国を挙げて高血圧の治療を行いました。その結果、脳卒中は激減しましたが、依然その発症率は高く、高血圧の主要な合併症として警戒が必要です。

    脳卒中は、「脳血管傷害」といいます。脳の血管になんらかの傷害が起こり、脳自体に害が及ぶ状態です。具体的には、血管が破けることによる「脳出血」と血管が詰まることによる「脳梗塞」があります。

    脳出血では、血管が破けもれ出た血液が、血腫という血の塊を作ります。脳は、頭蓋骨に囲まれた狭い場所にあるため、頭蓋骨の中に血腫ができればその圧力はどこにも逃げ場はなく、やわらかい脳を押しつぶします。脳のダメージが限局的であれば、麻痺やめまいが出現します。しかし、出血が多くダメージが、脳全体や生命維持を担当する部位に及ぶと死亡します。正常な血管は300mHg程度までの血圧に耐えられるといわれていますが、長年、高血圧にさらされた血管は動脈硬化が進みもろくなってきます。血圧が140mmmHg以上であれば脳出血を起こす可能性が高くなってきます。血圧を120mmHg以下にコントロールできれば、脳出血の可能性はかなり低くなります。なお、くも膜下出血は、血圧が低くても起こることがあり、血縁者にクモ膜下出血の方がいれば、脳ドックでの動脈瘤のチェックをお勧めします。

    脳梗塞は血管がつまり、脳が血液不足になるために起こる病気です。脳の血管の一部が詰まると、それから先には血液が届かなくなります。血液が届かなくなれば、その脳細胞は死んでしまいます。死んだ脳細胞が右手を動かす細胞であれば右手が動かなくなり、口を動かす細胞が死んでしまえばうまくしゃべれなくなります。生命維持部位に脳梗塞が起こったり、脳の腫れがひどい場合には死亡することもありますが、脳出血と比べると死亡率は低いようです。血管が詰まる原因には、動脈硬化による場合と心臓から血液の塊が飛んでくる場合があります。血圧が高くなれば、動脈硬化が進み詰まりやすくなります。また、高血圧によって心臓の負担が増えれば不整脈が出現し血栓を作りやすくなります。どちらのタイプの脳梗塞も、予防には血圧のコントロールが大事になります。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

  • 月報 「聴診器」 2007/5

    月報 「聴診器」 2007/5/1

     

    皆さん、連休はどのように過ごしましたか。僕は子供たちをつれて城山に登りました。沢山の巨木を見ながらの散策でとても楽しく登ることが出来ました。山道もきれいに整備されていて、その心遣いに感銘を受けました。

     

    8 高血圧④ 高血圧と腎臓

    前回は、高血圧による心臓の障害を説明しました。しかし、高血圧は心臓だけに障害を与えるわけではありません。心臓と同じぐらい高血圧と関係がある臓器が腎臓です。腎臓病は高血圧によって引き起こされることがありますし、逆に腎臓病によって血圧が上がる場合もあります。

    腎臓は背骨の両脇にある、こぶし程度の大きさをした臓器です。血液の老廃物を尿として排出している臓器です。しかし、単なる濾過装置でなく、血中のイオンバランスを調節したり、血圧をコントロールする大切な働きもしています。腎臓には動脈から血液が流れ込み、いくつにも枝分かれし、最終的には糸球体という、血管が毛玉のように固まった構造物に行き着きます。糸球体は大変小さなもので、ひとつが0.2mm程度しか有りません。ひとつの腎臓にはこれが100万個ほど詰まっています。血液がこの糸球体に入ると、老廃物や不必要な水分などが血管の外に押し出され、原尿となります。原尿は大変薄いもので1日100リットルも作られます。その後、原尿は尿細管という細い管を通り濃縮され、いわゆる尿と成ります。糸球体での濾過、尿細管での尿濃縮が腎臓が尿を作るための大切な機序なのです。血圧が高くなれば、糸球体に高い圧力がかかります。高い圧力がかかれば、糸球体はつぶれてだめになってしまいます。一度つぶれた、糸球体は二度と元に戻りません。それだけでなく、糸球体の数が減ってくると、腎臓は血圧を上げるホルモンを放出します。このため、高血圧による腎不全が始まると、益々血圧が上昇し、上昇した血圧が更に腎臓を傷害する悪循環に陥ります。最終的には、腎臓が全く働くなり尿毒症をおこしたり、全身や肺がむくんで死亡します。現代では、この段階で人工透析が開始されます。

    この悪循環を断ち切るためには、血圧を下げることが一番になります。血圧を下げることで、糸球体にかかる負担を減らしてあげるのです。このとき、糸球体内の圧力をより下げることの出来る薬を使用したほうが、腎臓を守る作用が強くなります。腎臓障害は初期には大変わかりにくく、採血検査ではかなり進まないと異常値が出ません。ただし、初期でも尿に蛋白がでるようになりますので、検尿の結果は大変参考になります。

    もちろん、高血圧以外の原因でも腎臓は悪くなります、糖尿病性腎症、多嚢胞性腎臓、腎血管狭窄症、急性腎炎、慢性腎炎などの病気になれば腎臓が障害を受け、血圧も上昇していきます。このような場合でも、血圧をコントロールすることで腎臓障害の進行を遅らせると考えられています。

    上野循環器科・内科医院  上野一弘

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